研究課題/領域番号 |
22K01381
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
窪田 悠一 日本大学, 法学部, 准教授 (40710075)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 内戦 / 反乱軍 / 徴税 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は第一に、(A)反乱軍はいかなる条件下および方法で市民からの徴税を行うのか、という点を考察する。市民に対する課税と税の徴収のためには人口統計の整備や官僚機構の構築が必要になる。そうしたコストにもかかわらず、なぜ反乱軍は自らの支配領域において徴税を行うのであろうか。また第二に、(B)そうした徴税活動は反乱軍の組織構造や内戦の帰結にどのような影響を及ぼすのか、という点を検討する。徴税のための官僚制度の整備は反乱軍組織の強化につながり、兵士の徴募や市民に対する公共サービスの提供を促進する効果を持っているかもしれない。本研究では、こうした問題を実証的に明らかすることを試みる。
|
研究実績の概要 |
当該年度には、内戦下の反乱軍が、なぜ、またどのように市民から徴税を実施するのかを明らかにすることを目的として、1946年以降の世界各国における内戦事例と反乱軍組織の徴税活動を捉えるデータセットの構築を継続した。ここでは、ウプサラ紛争データ・プログラム(UCDP) で定義される反乱軍組織をサンプルにして、それらを対象に学術書・論文、新聞記事、国際機関やNGO等の報告書を参照しながら、産業別にそれらの反乱軍がいかなる手段で、またどの程度の税を市民に課しているのかに関する独自のコーディングを行った。具体的には、特定のセクターにおける徴税活動の有無と程度・包括性、強制力を伴う徴税か否か、徴税のための官僚的制度の構築・利用の有無などがコーディングの対象となる変数である。これらの作業は臨時に雇用した研究アシスタントによって主に進められた。当該年度末までに、アジア、中東、ヨーロッパにおける反乱軍組織に関するコーディングが行われている。このデータは、反乱軍の属性や内戦下の政治経済が徴税活動の有無や特徴をいかに規定するのか、また反乱軍の徴税活動がその組織的発展や内戦のプロセスに及ぼす影響を明らかにするための統計解析に用いることになる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内戦下の反乱軍による徴税活動をテーマとする文献調査を進めるとともに、当初予定していたデータセットのコードブックの作成、及びその構築に関するコーディングを本格的に開始することができたため。またコーディング作業が1946年以降のアジア、中東、ヨーロッパにおける反乱軍をカバーすることができるなど、おおむね順調に進んでいるため。さらに、当該データセットは対象地域をさらに拡大することでより一般的な知見を生み出しうるが、既存のデータでも一定の分析は可能となるため。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度には、データセットの構築を継続するとともに、これを用いた分析を進める。第一に、反乱軍の徴税活動が行われる文脈を明らかにするために、組織の属性などを説明変数とする統計解析を行う。ここでは、既存研究で主張されている内戦の局面や反乱軍のイデオロギーなどの妥当性の検討だけでなく、アクセスが可能な天然資源の存在や市民経済の規模などの変数を用いることで、これまで関連の分析で行われてこなかった説明を試みる。第二に、反乱軍の徴税活動がその組織的発展や内戦のプロセスに及ぼす影響を明らかにする。徴税活動の実施は反乱軍組織の支持基盤を強固にするとともに、戦闘員の徴募を通じて組織の拡大を可能にするかもしれない。またそうした組織の発展は、軍事機能の強化だけでなく、政治部門の創設につながることもある。さらに、こうした反乱軍の軍事・政治能力の変化は内戦の期間や帰結に影響を及ぼしていることが想定される。ここでは、独自に構築したデータセットと既存の反乱軍組織に関するデータや内戦期間・帰結に関するデータを反乱軍組織の固有IDをもとに結合し、統計分析に用いる。
また、こうした分析の結果を論文としてまとめ、国内外の学会やワークショップで報告するとともに、研究成果をインパクトファクターの高い国際学術誌に投稿し、刊行することを目指す。
|