• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

先進諸国の経済政策に中国脅威論が及ぼす影響:米国議会の分析を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 22K01384
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分06020:国際関係論関連
研究機関フェリス女学院大学

研究代表者

杉之原 真子  フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (80376631)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード経済安全保障 / 財政政策 / 産業政策 / 米国議会 / 利益団体 / 米国 / 日本
研究開始時の研究の概要

本研究は、先進諸国の経済政策に対する中国脅威論の影響を分析する。先進諸国で中国の対外政策への警戒感が高まっている中で、対外経済政策のみならず、国内の産業政策や競争政策、福祉政策に至るまで、経済政策全般で中国との競争が意識されるようになっている。その例として、米国では世界のリーダーとしての地位が中国の台頭で脅かされているという認識が広がっており、中国脅威論の影響が広範囲な経済政策にうかがえる。そこで本研究では米国議会に着目し、対中脅威論が高まった2016年以降の経済政策決定において、各議員の動向に安全保障上の脅威認識がどのように影響しているかを検証する。また、日本や欧州の事例とも比較する。

研究実績の概要

中国が軍事上の脅威であり、それに対抗するためには、中国の技術成長を押しとどめる輸出規制や投資規制が必要であるという認識が広く持たれている。米国は、そうした動きをリードするべく、国内での政策に加え、バイデン政権下では同志国との連携を進めている。
安全保障上の懸念から推進されている国内政策には、大統領令など行政府主導のものと、議会主導の政策がある。いずれにおいても対中脅威認識は共有されており、分断が深まる政党政治の中で、二大政党の協調が見込める数少ない分野とみなされることもあるが、個別の事例については依然対立は根深い。また、企業は多くの場合、中国との関係によって得られる経済的利益を重視し、輸出規制等を限定的なものにするべく働きかけを続けている。
半導体の国内生産を主な目的とする産業政策については、米国半導体産業協会(SIA)が以前から研究開発促進のための補助金の要請を行ってきたが、主要企業は生産を海外に委託することで大きな利益を上げてきたため、国内生産の促進には積極的ではなかった。しかし、2020年の新型コロナ禍における半導体不足により、国内生産の推進が重視されるようになった。それでも、議会内の党派対立が理由で、CHIPS+法案の成立は容易ではなかった。
2023年6月の学会発表「アメリカの財政政策と米中対立」では、米国のバイデン政権が、財政政策の提案にあたって福祉や教育を含めて中国への脅威への対抗を強調したものの、個別の政策については党派対立や各議員の選挙区の事情が、脅威認識よりも強く議員の政策志向に影響し、超党派の合意はごく限定されたものとなったことを明らかにした。
米国の動きに対応した日本での展開についても研究し、日本の場合はもともと半導体素材や装置の製造に強みを持つことから、国内製造の推進に向けた政策は相対的にスムーズに採用されたことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究2年目となる2023年度は、まず、2022年度までに構築した米国議会の議員に関するデータベースをもとに、ディスカッションペーパー「海外直接投資規制と米中対立:米議会の動向を中心に」を執筆、発表した。6月には、日本比較政治学会で米国の産業政策・財政政策に関する研究報告を行い、コメンテーターおよび聴衆から貴重なフィードバックを得た。なお7月にも国際学会であるInternational Political Science Associationで、日本の投資政策に関する報告を行うことが決まっていたが、感染症罹患のためキャンセルせざるを得なかった。
8月末から12月まで、ハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所の日米関係プログラムに研究員として所属し、資料収集やインタビュー、研究会やシンポジウムへの参加などを通じて、近年の米国の産業政策や経済規制の展開と、それに中国脅威論が与えた影響について、情報収集や理論的視点の整理を行うことができた。また日本に関しても、対内直接投資規制や半導体産業支援政策の動向、およびそれらが米国でどのように分析されているかといった点について引き続き分析し、比較を通じた米国の事例の理解を深めた。
これらの成果を論文にまとめて12月には研究員セミナーで対内直接投資規制に関する報告をした。在外研究の成果を反映した論文を、2024年度に複数公刊予定である。

今後の研究の推進方策

本課題の研究3年目となる2024年度には、前年度までの研究成果のとりまとめとなる論文として、「政党の分極化と党派的対立が財政に与えた影響ーアメリカ二大政党制下の財政政策」「米国の産業政策ー米中対立と国内政治分断下での政策形成」「Political Economy of Investment Screening in Japan」 の刊行を予定している。また、4月には国際学会であるInternational Studies Associationで、日本の経済安全保障と対内直接投資規制・産業政策に関する報告を実施する。11月には日本国際政治学会において、対内直接投資規制の形成過程について報告予定である。
上記の通り予定されている成果発表に加え、さらなる情報収集を進めてこれまでに収集した資料と併せ分析をさらに深めて、新たに論文を執筆する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 海外直接投資規制と米中対立:米議会の動向を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      杉之原 真子
    • 雑誌名

      RIETIディスカッション・ペーパー

      巻: 23-J-024

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 安全保障上の懸念に基づく海外直接投資規制の傾向──米国における展開2023

    • 著者名/発表者名
      杉之原 真子
    • 雑誌名

      日本国際問題研究所 経済・安全保障リンケージ研究会 最終報告書

      巻: 1 ページ: 27-36

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] The Dilemma of Economic Security in Japan2024

    • 著者名/発表者名
      Masako Suginohara
    • 学会等名
      International Studies Association Annual Conference 2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] アメリカの財政政策と米中対立2023

    • 著者名/発表者名
      杉之原 真子
    • 学会等名
      日本比較政治学会2023年度研究大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Economic Security: The Case of Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Masako Suginohara
    • 学会等名
      日本国際政治学会2022年度研究大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 国際関係論入門2023

    • 著者名/発表者名
      草野大希、小川裕子、藤田泰昌、西田竜也、山越裕太、中村長史、政所大輔、板山真弓、中内政貴、冨田晃正、杉之原真子、井口正彦、赤星聖
    • 総ページ数
      370
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623095773
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi