研究課題/領域番号 |
22K01387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 晋 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30553101)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 社会厚生 / 平等 / 社会選択理論 / 社会階層 / 政治哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、社会厚生の測定問題に関する基礎理論の構築をするとともに、その応用として、モデルに基づく最適政策分析および実証的応用を行う。ケネス・アローによる不可能性定理の証明以来、厚生経済学/社会的選択理論では、数理的/公理的分析が中心となって発展してきた。しかし、動学的状況・多次元環境などの想定を入れた分析はいまだ発展の余地があり、実践的な観点からも重要と考えられる。また、人びとの思想をめぐる考えの形成も厚生指標の重要な要素と捉える。さらに本研究では、平等論や契約論など、近年の政治哲学の潮流も踏まえつつ、世代間移動や貧困の計測に有効な理論構築を行い、その応用を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、社会厚生の測定問題に関する基礎理論の構築をするとともに、その応用として、モデルに基づく最適政策分析および実証的応用を行う。まず、厚生経済学の根本概念としてのパレート原理を検討したが、この原理には複数のバージョンがあることが知られている。本研究では、複数のバージョンの論理関係を明らかにした。特に、弱いパレート原理が強いパレート原理と一致するための条件(凸性)を示した。前者はロールズ格差原理によっても満たされ、後者はそうではないといった重要な違いもあるので、2つのバージョンのギャップが明確化されることには厚生経済学上の意義がある。また、社会的選択理論の根本命題であるアローの不可能性定理の拡張を行った。社会的選好の推移性よりも弱い整合性条件で、不可能性を導き、既存研究との関係を明らかにした。その際、中立性条件と拒否権者の条件を利用している。さらに、厚生経済学の動的応用として人口倫理の問題を検討するとともに、ノージックのユートピアと協力ゲームの解概念であるコアとの関係を検討した。こうした理論的検討に加え、より厚生の高い状態を目指すための社会的実践として、エコシステムによる貧困削減の問題を分析した。特に、エコシステムがいかにモラルハザードを緩和しうるかということを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際的ネットワークを構築しつつ、基礎研究も進めることができ、査読誌への出版もできたため。
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今後の研究の推進方策 |
貧困問題の一環として、十分主義の問題を検討するとともに、アローの不可能性定理に関わる根本的課題についてさらなる研究を進める。これに加えて、優先主義や平等主義などについて不確実性・リスクを導入した問題を考察して、人口倫理への応用を進める。さらに、理論の実装化として、応用モデルの検討を進める。
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