研究課題/領域番号 |
22K01395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
下川 哲矢 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 教授 (30366447)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 意思決定 / 神経経済学 / 限定合理性 / ニューロエコノミクス / Rational inattention |
研究開始時の研究の概要 |
近年,情報の獲得や処理に伴う認知コストを明示的に導入したRational Inattention modelが,Simonの古典的な問題意識を受け継ぐ有力な意思決定理論として注目されている.本研究では,「情報コストの精緻化」と「注意の配分」といった当該分野の理論フロンティアに,認知的な観点から実証的にアプローチし,その妥当性を検証する.本研究は,「神経経済学」「統計的パターン認識・機械学習」「エージェントベースシミュレーション」の手法を用いて,実証上の困難を克服し,この現代的な限定合理性理論を巡る論争に初めて認知的な基礎付けを与えようとするものである.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,近年注目を集めているRational inattentionモデルに認知的な基礎付けを与えることである.特に,「情報コストの精緻化」と「注意の分配」 といった理論フロンティアに着目して,意思決定モデルの精緻化を行う. 本年度は,主として研究申請書中の実験3のデータを中心に,inattentionの状況依存性,attention allocationの通時的傾向および認知容易性との関係,さらにそれらと市場バイアスとの関係の検討(申請書中の検討課題FおよびGに対応)を行い,複数の情報源が存在する場合の人々のattention allocationを,生体情報から明らかにするとともに,既存の理論モデルとの整合性を吟味した.実験3は,画面中央に同様に投資対象の株価時系列データを表示し,それを取り囲むように 複数の情報源を配置するようなGraphical user interfaceを用いた複数情報源が存在する連続投資実験である.これは言うまでもなく,複数証券リターンの相関を念頭に置いた設定である.課題中の被験者の行動(投資率)のほかに脳情報(fNIRS)および視線情報を取得している.実験規模は,生体情報を取得するため,被験者45名である. 分析の結果,attentionの状況依存性や認知容易性に由来する非対称性,さらに学習による情報源の選択傾向が明らかになった.これらは既存のRational inattentionモデルやSparse最適化型inattentionモデルでは記述不可能な性質である.またinattentionの存在により,金融市場で観測されるrisk premium puzzleや超過volatilityといった現象が説明できる可能性も解析的に明らかにした.これらは論文にまとめられ近々投稿される予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回は準備が十分にできていたことと,実験が予定通りに進んだことが,申請書の計画通りに進んでいる大きな要因である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は生体情報から明らかになった人々のattention allocationの各性質を説明できるよう,既存のRational inattentionモデルやSparse最適化型inattentionモデルを改良する予定である.また本格的な市場シミュレーションを行い,それらのattention allocationと市場価格のanomaliesとの関係や市場価格の情報効率性の関係を明らかにする予定である.
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