研究実績の概要 |
人々は、家庭教育等で人的資本を形成して労働に従事し、家庭を築き次世代を育てていく。このプロセスの円滑な進行は、マクロ経済的観点からも重要である。本研究の主目的は、こうした視点に基づくライフサイクル上の雇用・労働と家族関係の相互作用の分析であり、令和五年度には以下の2プロジェクトを探求した。Julen Esteban-Pretel氏(ニューヨーク市立大学クイーンズカレッジ教授)との我が国非正規雇用についての研究では、正規・非正規の別を導入した労働サーチ・マッチング・モデルや非正規雇用の特質についての議論を行った。また、1980年代以降の非正規雇用につき概括したディスカッションペーパーEsteban-Pretel and Fujimoto (2021)を雑誌に投稿すべく、改訂を進めた。David Lagakos氏 (ボストン大学教授)及びMitchell VanVuren氏(イエール大学ポストドクトラルアソシエート)との途上国における親の所得と子の教育水準の関係に関する研究では、ガーナの高校無償化政策のマクロ経済学的効果に関する論文を、ワーキングペーパーFujimoto, Lagakos, and VanVuren (2023)として公表した。
<参考文献> Esteban-Pretel, J. and J. Fujimoto (2021) “Non-regular Employment in Japan from the 1980s,” GRIPS DP 21-01. Fujimoto, J., D. Lagakos, and M. VanVuren (2023) “Aggregate and Distributional Effects of ‘Free’ Secondary Schooling in the Developing World,” NBER WP 31023.
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