配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究開始時の研究の概要 |
ビジネス・ダイナミズムはなぜ停滞しているのか?停滞するビジネス・ダイナミズムが経済成長に与える影響は? これら問いに答えるべく, 本計画は, 参入・退出率, 企業の年齢・規模分布など, ビジネス・ダイナミズムを特徴づける要因が内生的であるようなR&Dに基づく経済成長モデルを構築し, ビジネス・ダイナミズム停滞の原因とその経済成長への影響を定性・定量両面から分析する. 具体的には, 知的財産保護と金融政策に注目し, 国際的な進展がみられるこの分野の研究を, さらに発展させることを目指す.
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研究実績の概要 |
(コロナ禍前において) 世界的に観察されている停滞するビジネス・ダイナミズムの決定要因とマクロ経済に対する影響について, 研究を開始した. クロスカントリーデータによって, インフレ率と参入・退出率の正の相関を確認したうえで, 低インフレが低参入率・低退出率を引き起こす理論的なメカニズムを検討すべく, あらたな理論モデルを開発・精緻化した. 具体的には, Romer (1990, JPE) によるイノベーションに基づく成長モデルに, 金融政策の役割を導入した Chu and Cozzi (2014, IER) モデルに, 内生的な企業の参入活動と内生的な退出活動を組み込んだ, 新たな動学的一般均衡モデルを構築した. このモデルにおける定性・定量分析によって現時点までに得られた結果によると, 企業の参入費用が十分に高い場合, 低インフレ率(あるいは低名目金利)が参入率・退出率の低下 (ビジネス・ダイナミズムの停滞) を引き起こす可能性がある. また, 企業の参入・退出のダイナミズムをより正確に理解するためには, 景気循環が発生する理論モデルを利用することが望ましい点にも注目し, 本計画の新たな展開の1つとして, 技術革新と景気が変動するイノベーション・サイクルモデルに関する研究も行っている. これまでのところ, 歴史的に繰り返される産業革命のような超長期的な視点からイノベーション・技術革新の循環をとらえた理論モデルの構築を行った. 次年度以降, 理論・実証両面から, 技術革新の波を, 企業の参入・退出のダイナミズムに関連付けていく計画である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に対応した新しい経済モデルを, プロトタイプではあるが構築し, モデルに基づいた理論結果を導出できているので, プロジェクト初年度としては, おおむね順調に進捗しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
まずは, 現在進行中の金融政策がビジネス・ダイナミズムに与える影響に関して得られた理論・実証結果をまとめなおした論文を執筆する. 同時並行して, 金融政策以外の要因も含めた分析に拡張していく予定である. 現時点では, 技術進歩の循環 (イノベーション・サイクル)や文化的選好の役割を検討する方針である. それらの要因に基づいて理論モデルを拡張し、理論・実証両面からビジネス・ダイナミズムの決定要因について、経済成長論の文脈から研究を推進していく予定である。
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