研究課題/領域番号 |
22K01408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
岡野 芳隆 関西大学, 経済学部, 准教授 (20513120)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 実験経済学 / 行動経済学 / 代表者の意思決定 / 調整行動 / 分配行動 |
研究開始時の研究の概要 |
我々の社会は多くの組織・集団で構成されており、組織単位・集団単位で意思決定をする場面がよくある。多くの組織にはその組織を代表する人物がいて、集団メンバーの意見をまとめて集団全体の行動を決定したり、規則や予算配分など組織を円滑に運営するための重要事項を決定したりしている。代表者の意思決定は集団メンバーにのみならず、社会全体に大きな影響力を持つため、その特徴を理解することは経済学にとって重要な課題である。本研究課題では、集団を代表する個人の意思決定がどのような経済学的特徴を持つか、その背後で働いているメカニズムは何か、社会全体にどのような影響を及ぼすかという点を、実験研究を通して検証する。
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研究実績の概要 |
今年度は、一つ目のプロジェクトである「利益共有集団の代表者と意見集約」に関する研究を中心に進めた。前年度の分析結果では、集団への帰属意識を高めるためのチームビルディングタスクが、予想したような効果をもたらさなかったため、本年度は、新たな実験デザインの作成を行った。その過程で、当初の研究計画にはなかった新たな実験の必要性が生じたため、この実験を行った。具体的には、集団への帰属意識を最小限にとどめた集団(最小条件集団)を形成し、集団内・集団間での恩送りの違いを検証している。被験者は2回繰り返しの独裁者ゲームを行う。配分者と受領者の役割は1回目と2回目とで異なる。1回目と2回目で分配する相手も異なるが、2回とも内集団メンバーであるケース(内集団条件)と2回とも外集団メンバーであるケース(外集団条件)とを比較する。その結果、内集団条件の2回目の配分額が、外集団条件の2回目の配分額よりも多くなることが分かった。これは、たとえ相手が別の人物であったとしても、内集団メンバーにはより多くの恩送りをすることを意味している。ただ、本年度行った実験では、データ数が少ないため、来年度さらに追加実験を行う予定である。 また初年度に行った実験では、男女の争いゲームをもとに代表者の意見集約行動を検証したが、個人の意思決定と大きな違いを観察することができなかった。そこで、男女の争いゲームを拡張した以下のゲームで新たな検証を行うこととした。各集団は1から10までの数字のどれかを選択する。利得は、自集団が選んだ数字から「両集団の数字の合計と11との差の絶対値の2倍」を引いたものである。ナッシュ均衡は両集団の数字の合計が11になる数字の組すべてである。自集団の利得が10(相手集団が1)になる優位な均衡から自集団が1(相手集団が10)になる不利な均衡まで計10個の均衡がある。この実験を来年度実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の実験結果をもとに、新たな実験計画の必要性が生じ、さらにその過程で、別の新しい実験をデザインし、実施した。当初の研究計画からは遅れたことにはなるが、本研究課題を遂行する上で重要な研究アイデアであり、本研究課題がより充実したものになったと確信している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度から始めた実験の追加実験を行う。また、代表者の意見集約行動については、新たなゲームをもとに実験を実施する予定である。本研究課題の二つ目のプロジェクトである「投票で選ばれた代表者の公約とその遵守行動」に関する研究については、実験デザインを詰めていく必要があるので、先行研究をもとに実験デザインの詳細部分について検討する作業をしていく予定である。
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