研究課題/領域番号 |
22K01410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鍋島 直樹 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (70251733)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 経済学史 / 経済思想 / 経済学説 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、学説史的展望にもとづき、ケインズ経済学の形成・発展の過程について考察するとともに、その今日的な意義と可能性を闡明しようとする点にある。その際には、ケインズと並ぶ「有効需要の理論」の提唱者として知られているミハウ・カレツキの貢献にも注目する。すなわち、ポスト・ケインズ派の理論的源泉となっているケインズとカレツキの原典に立ち返ることによって、ケインズ経済学の再生・発展の可能性を探究しようと試みる。これと併せて、現代政治経済学の諸学派のあいだの連携を通じて、代替的な経済理論を構築していくための糸口を探る。
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研究実績の概要 |
研究の初年度にあたる2022年度には、理論と方法の両面にわたりケインズ経済学の意義と特質について考察を加え、今後のいっそうの発展の方向を大まかに見定めることに努めた。これと併せて、ポスト・ケインズ派経済学をはじめ、広く異端派マクロ経済学の諸潮流における新動向の把握にも取り組んだ。これらの作業を通じて、ケインズ経済学の今日的可能性がどこにあるのかについての検討を進めた。 その一環として、同年度にはロバート・スキデルスキー著(鍋島直樹訳)『経済学のどこが問題なのか』名古屋大学出版会、の訳書を公刊した。ケインズ研究の第一人者である著者が、自らの深い学殖にもとづき、経済学のあり方を根本から問い直すことを訴えた問題提起の書である。同書の目的は、経済学の研究が行なわれている方法それ自体を問い直すことによって、これからの経済学が進むべき方向を探ることにある。とりわけ著者は、諸個人の価値観や選好は社会のなかで各人が置かれた位置によって形づくられるのであるから、社会現象を個人の行動の単なる集計と見なすことはできないという点を強調している。さらに同書の大きな魅力は、経済学はもとより、心理学・政治学・社会学・歴史学・倫理学などの幅広い分野の多様な学説が検討の俎上に載せられていることにある。現実世界をより良く理解するために社会諸科学の成果を積極的に活用しようとする著者の姿勢から、われわれは多くを学ぶことができるだろう。なお同訳書は、複数の学会誌のほか、週刊経済誌2誌の書評欄でも取り上げられるなど、学界にとどまらず広く社会において注目を集め、好意的な評価を受けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初年度にあたる2022年度の目的は、現代経済学の動向に照らしつつ、ケインズ経済学の意義と可能性についての大まかな展望を行なうことにあった。この目的を達成するため、ポスト・ケインズ派経済学をはじめとする異端派マクロ経済学の最近の主要な成果を広く渉猟した。またこれと併せて、ケインズ経済学の形成と発展が進められた歴史的背景について改めて考察するとともに、「経済の金融化」などの現代資本主義を取り巻く諸問題についても検討を行なった。今後は、これらの成果を踏まえて、ケインズ経済学を理論・思想・政策の諸側面から幅広く研究していくことができるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の成果を踏まえて、ケインズ、カレツキ、ポスト・ケインズ派の経済学についての研究を進めてゆく。しかしながら、ケインズとカレツキの学史的検討、および異端派マクロ経済学の諸潮流における新動向の把握など、初年度に扱った課題にも継続して取り組んでいくので、研究期間全体を通して、過去の理論と現代の理論のあいだの往復作業を絶えず続けていくことになる。
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