研究課題/領域番号 |
22K01414
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
二宮 健史郎 立教大学, 経済学部, 教授 (30273395)
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研究分担者 |
高見 博之 大分大学, 経済学部, 教授 (10264326)
得田 雅章 日本大学, 経済学部, 教授 (10366974)
吉田 博之 日本大学, 経済学部, 教授 (80308824)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 金融の不安定性 / ミンスキー / 非線形経済動学 / マクロ時系列分析 / 現代貨幣理論 / ポスト・ケインズ派 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国、及び世界経済を取り巻く環境は非常に厳しいものがある。景気の長期低迷とデフレ、膨大な国債累積残高、市場経済化による格差の拡大、世界的金融危機、新型コロナ感染拡大やウクライナ侵攻にともなう経済危機等である。このような状況の中、表舞台に登場してきたのが既存の経済学からは逸脱したように見える現代貨幣理論(MMT)である。しかしながら、その主張は多岐に渡り、独特な解釈を行なっている面も多い。本研究では、MMTの理論構造を検討し、MMTに代替する(改良する)経済成長、経済安定化に向けた経済政策、制度的枠組みを明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度において、以下の業績を公表した。(1)共著書:二宮健史郎・得田雅章(2024)『金融構造の変化と不安定性の経済学』日本評論社、(2)査読付論文:Ninomiya,K.(2023), Debt Burden, Investment, and Profit-Sharing, Evolutionary and Institutional Economics Review 20(2), pp.287-306、(3)DP: Ninomiya, K.(2023), Financial Cycles and Instability in a Keynes-Wicksell Model, Rikkyo Institute of Economic Research, Discussion Paper (E-5)、(4)紀要論文:二宮健史郎(2024)「物価、利子率の理論と金融の不安定性:基本マクロ経済モデルの再検討と展望」『立教経済学研究』第77巻第4号(刊行予定)。 (1)は、研究分担者(得田)との共著書であり、非線形経済動学を適用した金融不安定性のマクロ動学モデルにおいて金融構造の変化と経済の不安定性、循環を理論的に検討し、構造VARモデルを適用して実証分析を行なったものである。(2)は、負債を考慮したモデルにおいて、異なるProfit -Sharingルールが体系の安定性に与える影響を検討したものである。(3)では、競争・寡占の混合体系におけるKeynes -WicksellモデルにLR(貸し手のリスク)型の金融構造を導入した。そして、寡占経済において金融の不安定性を誘発するLR型の金融構造が、競争経済においては経済を安定化させることを示した。但し、競争経済が望ましいと結論づけるのは早計である。(4)は、本研究課題に関する学説史的展開を含む基本的なサーベイ論文である。 (1)(2)は、本研究課題の基盤となる成果、(3)は基礎的モデルであり、本研究課題の目的の達成のために極めて重要なものである。(4)のサーベイ論文にも示しているように、これらの諸研究の拡張、精緻化により研究の発展が期待される。 研究分担者は、以下の論文を公表している。 得田雅章「マクロ経済変数と資産の価格」『資産評価政策学』第24巻第1号, pp.1-9.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は、本研究課題の一つの大きな目標であった共著書(1)の刊行に向けて努力し、極めて順調に達成することができた。また、英文査読誌に論文が掲載されている((2)の論文)。ディスカッションーパーも刊行し、英文査読誌に投稿予定である((3)の論文)。同論文は本研究課題の基盤となるものであり、同論文を基にさらなる研究の進展が見込まれる。さらに、新たな視点を考慮した論文のサーベイも行い((4)の論文)、研究の方向性もより明確になったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍により制限されていた共同研究者との対面での研究打ち合わせを再開し、研究会での報告(第23回現代経済学研究会(大分大学))も行なった。研究分担者との新たな共同研究にも着手している。このような活動をより積極的に行うことにより、論文の質の向上に努めたい。 具体的には、競争・寡占経済の混合体系における財政政策の効果の検討、競争経済におけるインフレ・ターゲットの効果の再検討、国債の動態を導入した金融の不安定性の検討等を行いたい。さらに、研究分担者との共同研究により、構造VARモデルを適用した実証研究、ゲーム理論を適用した制度的枠組みの理論的研究なども行いたい。2024年度もそれらの成果を積極的にディスカッションペーパーとして公表し、査読誌への投稿、掲載に繋げたいと考えている。
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