研究課題/領域番号 |
22K01415
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
今池 康人 福井県立大学, 経済学部, 准教授 (90935511)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | マイケル・ポランニー / 学問の自由 / 自生的秩序 / 暗黙知 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ポランニーのプロフェッショナリズムを解明し、自由社会における専門家のあるべき姿や民衆と国家の関係性を再考するものである。 ポランニーの暗黙知概念(人間には言語化不可能な知識が存在する)は経営学に取り入れられることが多い。しかしその本質は社会主義批判であると同時に学問の自由や社会における専門家の役割の基礎を形作る概念である。また、ポランニー思想において専門家達は社会に貢献するという信念を持つことが求められる。 書簡の調査を交えつつこうしたポランニー思想を検討することにより、現代自由社会において我々がどのように生きるべきかについての視座を得る。
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研究実績の概要 |
2022年度においては主として自由社会における専門家の必要性を明らかにした。10月に保守的自由主義研究会にて報告を行い、その後、11月には社会思想史学会第47回全国大会において同様の報告を行った。これらの報告で得たコメントを元に論文としてブラッシュアップを行い、福井県立大学経済経営研究に投稿し、2023年3月発行の第45号に論文「自由社会における専門家の役割-マイケル・ポランニーのプロフェッショナリズム-」が掲載された。具体的な研究内容は以下の通りである。 ポランニーは社会を人に設計された秩序ではなく自生的秩序に任せるべきと考える。しかし、一般的な自生的秩序論とは異なり、ポランニーは社会における専門家の役割を強調する。専門家たちは各々の共同体を作り、その中で相互調節を行う。そして、各種の専門家たちは自身の職務を全うしなければならず、一般公衆はそうした専門家たちを尊敬し、自由な活動を認めなければならない。 また、このような相互調節は共同体内だけでなく、共同体と市民の間でも行われる。専門家たちは専門家同士で議論を行うだけでなく、一般公衆に自身の行いを認めてもらう必要が生じる。そのために、自身の研究成果を社会に広め、一般公衆を説得しなければならない。ポランニーの自生的秩序論にはそうした専門家・一般公衆間の相互調節も含まれる。 こうした専門家について、ポランニーはまずは科学者を念頭に置き議論を行う。しかし、この議論は科学者だけでなく、その他の学者、著述家、ビジネスマン、ジャーナリスト、そして政治家をも含んだ広い概念である。 昨今、専門家の助言は軽視され、専門家もまた一般公衆に自身の成果を発信することを怠る世の中へと陥っているのではないであろうか。そうした社会においてポランニーの思想は重要な意味を持つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の予定度通り、研究会・学会報告及び論文投稿を行ったため、(2)と評価した。 具体的な活動報告に移ると、2022年10月に保守的自由主義研究会にて報告を行い、その後、2022年11月には社会思想史学会第47回全国大会において同様の報告を行った。 これらの報告で得たコメントを元に論文としてブラッシュアップを行い、福井県立大学経済経営研究に投稿し、2023年3月発行の第45号に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は主としてポランニーの学問の自由に関する研究を行う。可能なら学会・研究会での報告を行いつつ、年度後半に論文を投稿する予定である。 また、2023年度夏季休暇中にシカゴ大学図書館へポランニー書簡の調査へ赴く予定であったが、大学業務との兼ね合いから難しいことが判明した。書簡調査については2023年度春期休暇中もしくは2024年度夏季休暇中に行う。 2024・25年度はそれらの調査をもとにポランニー書簡に関する研究を行う。最終年度である2026年度はそれらをまとめ海外のポランニー学会であるPolanyi Societyにおいて報告もしくは論文投稿を行う予定である。
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