研究課題/領域番号 |
22K01422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
黒住 英司 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00332643)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | バブル / 構造変化 / モニタリング / オンライン検定 / リアルタイム検定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,金融資産価格におけるバブルの発生とその消滅を検出し,また,その発生時点やクラッシュする時点を推定するための手法の開発およびその理論的特性の研究を行う。バブルの検出には,過去のデータをもとにバブルの有無を検証する場合と,リアルタイムでバブルの発生をモニタリングしていく場合の,2通りのケースが考えられる。そのどちらの場合についても,金融資産価格のデータの特性である(条件付き)不均一分散を考慮した手法を開発し,不均一分散がバブルの検定や発生時点の推定に与える影響を分析する。さらに,推定期間内でのバブルの発生数の推定や複数のバブル発生時点の推定,また,その信頼区間の構築方法を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,1:バブルの検定の最強力検定の導出と比較分析,2:検出力の包絡線に最も「近い」検定方法の開発,3:バブルの発生時点,クラッシュ時点,正常な市場への回帰時点の推定方法の開発,4:変化点の信頼区間の構築,の4点である。令和4年度の研究では,3で取り上げられている3つの変化点の推定方法の開発とその理論的特性の研究を行った。具体的には,最小2乗法に基づく手法で3つの変化点を別々に推定する方法を提案し,推定量の漸近特性を分析した。その結果,バブルの崩壊時点は一致推定できる一方,バブルの発生時点と崩壊から正常な市場へ戻る時点については,必ずしも一致推定は可能ではなく,サンプルサイズに対する変化点の比率(break fraction)のみが一致推定できるケースがあることが明らかとなった。 また,目的1と関連して,既存のバブルのモニタリング検定とは異なる,新たな変動タイプと呼ばれる検定手法を開発,その漸近特性を分析した。その結果,新たな手法はモニタリング期間の中盤から後半に現れるバブルの検出を得意とし,バブルの発生時点と検出時点の差も小さくなることが明らかとなった。 一方,モニタリング検定には学習期間が必要であり,この学習期間中はモデルが安定的である必要がある。そのため,与えられた期間内でのモデルの安定性の検定は重要である。令和4年度は,与えられた期間内に複数のレベル変化がある場合に,その変化点を逐次的に推定していく手法の理論的特性の研究を行った。その結果,構造変化が小さな場合の推定量の小標本分布は,In-fill asymptotic theoryという漸近的な手法で近似ができることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的のうち,目的3の変化点推定量の分析は達成されており,目的1の最適検定の開発は完成していないものの,新たなモニタリング検定の開発には成功している。目的1と2の最適検定の導出と検出力の包絡線の比較は令和5年度に,目的4の変化点の信頼区間の構築は令和6年度に研究を進める計画であり,予定通りの3年間で,目標としている研究成果が得られる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,令和4年度に分析した変化点推定手法の改良を試みる。特に,金融資産価格の系列を生成しているショックが不均一分散を持つ場合のより効率的な推定方法の開発と分析を進める。一方,これまでのモニタリング検定は既存のものをバブルの検出用に応用・発展させてきたが,最適検定はいまだ導出されていない。令和5年度は,バブルの最適検定を構築し,その理論的特性の研究を進める予定である。
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