研究実績の概要 |
次の2本の論文が学術雑誌に掲載された。 (1) Z. Lu and H. Tanizaki (2023) "The response of gold to the COVID-19 pandemic", Studies in Economics and Finance, Vol.40, No.5, pp.859-877. (2) A. Saito and H. Tanizaki (2024) "Volatility and returns of ESG indices: Evidence from Japan", SN Business & Economics, Vol.4, No.34. (1)では,Stochastic volatility(SV)モデルを用いて,日次の金の収益率とその変動がコロナの経済状況にどのように影響を与えるかを分析したものである。結論としては,コロナの感染者数の増加は金価格の変動に影響を与える(すなわち,リスクが増大する)となった。さらに,リスクは低所得国より高所得国に大きな影響があることが示された。高所得国の方が金市場(ファイナンス市場)が発達しており,そのため,影響を受けやすいと考えられるだろう。(2)については,Fama-French factorモデルに基づいたSVモデルを利用して,ESG(環境・社会・ガバナンス)に力を入れている企業はリスク回避的であることを日次データを用いて示した。さらに,コロナのような社会不安に対しても,ESGに力を入れる企業はリスクに対して対応力が優れているという結論となった。 さらに,付随的な成果としては,教科書『計量経済学』(谷崎・溝渕著,新世社,2023年)を出版した。特徴としては,上記の研究成果の1部分を実証分析の例として教科書取り入れ,最新の研究成果を教育にも活用することができている。
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