研究課題/領域番号 |
22K01430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
牧 大樹 同志社大学, 商学部, 教授 (60423737)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 実現ボラティリティ / 非線形性 / 予測精度 / 取引量 / 非対称効果 / モデル特定化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、モデル特定化をしない実現ボラティリティの予測方法を提案し、その予測精度を比較・検証することである。近年の実現ボラティリティや実現ボラティリティスピルオーバー効果の研究では、様々な非線形性の考慮が重要視されてきている。しかし、従来の研究においては、モデルが特定の想定に基づく非線形関数に依存し、モデル特定化の誤りによる予測精度の低下の可能性が潜在的に存在する。本研究で提案される新たな手法を使用することで、モデルに依存せずに実現ボラティリティの予測精度や実現ボラティリティスピルオーバー効果の計測精度を高められ、資産のリスク管理に有益となることが期待される。
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研究実績の概要 |
ボラティリティの予測は、ファイナンス分野におけるリスクマネジメントの重要な要素の一つである。予測精度の向上には、適切なボラティリティの測定とモデリングが必要である。ボラティリティとして最も有効な尺度の1つは実現ボラティリティであり、この動きをモデルするために広く使われているのは、線形のHARモデルである。最近の研究では、HARモデルを様々な非線形モデルに拡張している。非線形モデルは、標準的な線形のHARよりも予測精度が高くなり得るが、その予測精度はモデルの想定に依存する。しかし、誤ったモデルを使用すると予測精度を低下させる可能性がある。そのため、特定のモデルに依存せず、様々なモデルを近似的に用いて非線形性を考慮することが望まれる。 本研究では、実現ボラティリティの非線形性が予測精度を高めるかを検証するため、特定の非線形性を考慮しない新たなモデルを提案した。提案したモデルは様々な非線形モデルを近似できる特徴を持っており、モデル特定化の誤りによる予測精度の低下を防ぐことが期待できる。提案したモデルに基づき実証分析を行ったところ、非線形性を考慮することは、従来のモデルより高い予測精度をもたらすことが明らかとなった。 また、モデル精度を高めるため、取引量の非対称効果が実現ボラティリティに与える影響を検証している。この非対称効果を検証するために、本研究では非対称取引量を考慮する新たなモデルを導入している。導入された非対称取引量は日中リターンか日次リターンに依存して非対称変数を構成する。提案されたモデルを用いてT実現ボラティリティを推定したところ、明確な取引量の非対称効果が観測されるだけでなく、予測精度が改善された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題について、先行研究を比較検討するとともに新たなモデルを提案し、実際のデータ分析からその有効性を示すことができた。実際、従来のモデルと比較すると、提案されたモデルの予測精度は高くなることが統計的に示された。さらに、取引量を考慮する実現ボラティリティのモデルについても予測精度を高められるモデルを提案することができたため、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、他モデルとのさらなる比較や多変量モデルへの拡張を検討する必要がある。それらの検討により、さらなる予測精度の向上が期待される。また、資源価格や商品価格の高頻度データを使用して、提案したモデルの有効性を示すことで、今後の本研究課題を推進する。
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