• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

バイアス補正型ノンパラメトリック極値理論に基づく金融リスク管理法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K01431
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07030:経済統計関連
研究機関統計数理研究所

研究代表者

川崎 能典  統計数理研究所, 学際統計数理研究系, 教授 (70249910)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード金融リスク管理 / 時系列解析 / 統計的極値理論 / リスク尺度 / バイアス補正
研究開始時の研究の概要

金融時系列の過去データに基づき、所与の(小さい)確率で発生する巨額の損失がどの程度になるかを、統計的極値理論によって推定・予測する。極値理論により、これまで未実現の巨額損失でもどの程度の確率で起こりうるかを知ることができるが、そのためには裾指数と呼ばれる量を過去のデータから推定する必要がある。この研究の意義は、裾指数の推定量として、偏りを除去したより良い推定量を用いることで、その分精度の高い金融リスク管理を可能とする方法を研究するものである。

研究実績の概要

本研究の目的の第一は、統計的極値理論を利用した金融リスク管理の方法としてGARCH-UGH法を提案することにあったが、その内容が研究初年度の令和4年度に査読付き英文学術誌Quantitative Financeに掲載された。論文では、4種類の金融時系列に対して、GARCH-EVT, GARCH-UGH, GARCHなしのUGHの3つの方法を、信頼水準(3通り)と推定に使う順序統計量の割合(5通り)を変えながら、1日先のバリュー・アット・リスク(VaR)予測値の精度を比較検討した。経験超過数の観点からは、全60ケース中47ケースでGARCH-UGHが最も優れており、経験超過率の適合度検定をパスしないのは、GARCH-EVTで6ケース、GARCH-UGHは2ケースだけだった。
目的の第二はリスク管理手法の対比較であるが、今年度はリスク尺度を期待ショートフォール(Expected Shortfall, ES)に取った研究を行った。対比較型バックテストの前に、適合度を見るタイプのresidual exceedance法、conditional calibration法、ES回帰法に基づき数値実験・実証分析を行った。これらは個々のESの推定が妥当か否かを検定できるが優劣の比較はできないので、引き続きDiebold-Mariano検定による対比較を行った。結果は現在取りまとめ中である。
また、狭義の金融リスク管理からは少し距離のある問題だが、財務ビッグデータに対して誤差分布に歪対称正規分布やt分布を仮定したコブダグラス型生産関数で売上高をモデリングする研究も行った。全要素生産性の推定値に分析期間の業種ごとの経済状況が反映されていることが判明し、コロナ禍2年目の業種リスクに関する含意が得られた。結果は査読付き英文学術誌Symmetry(オープンアクセス誌)に公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の方法論的根幹であるGARCH-UGH法を提案した論文が学術誌に掲載されている。次なる課題は、金融リスク管理手法の対比較であるが、リスク尺度をVaRに限った分析に続き、ESの場合でGARCH-EVTとGARCH-UGHの比較を行った。交付申請書に記した研究実施計画に照らして、概ね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

リスク管理手法の対比較を行うには、分位点の予測値と実現値との距離を測るスコア関数が必要である。VaRに対してはある形のスコア関数族が対応していることが知られている一方、ESはそのような対応関係がないので工夫が必要である。そのような事情もあってか、実証分析の結果はリスク尺度をVaRに取った時の結果と、必ずしも整合的でないケースが散見された。従って次年度は、ESのケースで、各資産、各分析期間において、モデルごとの予測精度を詳細に検討することで、VaRのケースとの不整合を起こしている箇所で何が起きているのかを突き止めることが先決と考える。現在のところ、マーフィーのダイアグラムを利用することを考えている。その分析の後、GARCH-UGH法に基づく多期間予測(10-day VaR)の実装に関する研究を行う。そのパフォーマンスが例えばGARCH-EVT法に基づく10-day VaRと比較して優位性があるかを調べ、可能であれば更にその議論が10-day ESにも拡張可能かどうかに関する研究を行う。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Statistical Modeling of Financial Data with Skew-Symmetric Error Distributions2023

    • 著者名/発表者名
      Jimichi Masayuki、Kawasaki Yoshinori、Miyamoto Daisuke、Saka Chika、Nagata Shuichi
    • 雑誌名

      Symmetry

      巻: 15 号: 9 ページ: 1772-1772

    • DOI

      10.3390/sym15091772

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] GARCH-UGH: a bias-reduced approach for dynamic extreme Value-at-Risk estimation in financial time series2022

    • 著者名/発表者名
      H. Kaibuchi,Y. Kawasaki,G. Stupfler
    • 雑誌名

      Quantitative Finance

      巻: - 号: 7 ページ: 1-18

    • DOI

      10.1080/14697688.2022.2048061

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Statistical Modeling of Financial Data with Skew-Symmetric Error Distributions2024

    • 著者名/発表者名
      川崎能典、地道正行、阪智香、宮本大輔、永田修一
    • 学会等名
      2023年度(第31回)関西計量経済学研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Comparative VaR backtesting: GARCH-EVT versus GARCH-UGH2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshinori Kawasaki
    • 学会等名
      14th CEQURA Conference on Advances in Financial and Insurance Risk Management
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 探索的財務データ解析と再現可能研究: 東京プライム上場企業財務データの利用2023

    • 著者名/発表者名
      地道正行、川崎能典、阪智香、宮本大輔、永田修一
    • 学会等名
      日本計算機統計学会第37回シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Comparative VaR backtesting: GARCH-EVT versus GARCH-UGH2023

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki, Y.
    • 学会等名
      ISI-ISM-ISSAS Joint Conference 2023
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] A Bias-reduced Approach for Dynamic Extreme Value-at-Risk Estimation in Financial Time Series2023

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki, Y.
    • 学会等名
      ISM Symposium on Environmental Statistics 2023
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi