研究課題/領域番号 |
22K01446
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
新倉 博明 武蔵野大学, 経済学部, 准教授 (00823395)
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研究分担者 |
瀬古 美喜 武蔵野大学, 経済学部, 名誉教授 (60120490)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / 取締役 / 女性活躍 / 企業業績 / 女性取締役 / ジェンダー |
研究開始時の研究の概要 |
取締役会における女性社外取締役の複数社兼務に焦点を当て、全上場企業のパネルデータを用いて取締役の評判維持行動と、企業パフォーマンスに与える統合的効果の2点を分析する。まず兼務社外取締役を対象として、より規模の大きな企業に希少な時間や努力を配分するという評判維持行動と、その企業パフォーマンスへの効果に、ジェンダーによる差があるかを分析する。次に全取締役を対象として、女性割合、兼務状況及び取締役の独立性が企業パフォーマンスに与える効果を検証する。分析結果に基づき、我が国の取締役における女性割合の増加要請の是非に関する政策提言を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は女性活躍推進という政府の政策目標が、女性社外取締役の複数社兼務につながっていることに着目している。社外取締役は企業に通常モニタリング機能とアドバイス機能を期待されるが、社外取締役自身の兼務数の増加は、一社当たりに注力できる時間が低下するため、社外取締役として期待される効果を発揮できない可能性がある。 しかしながら、2013年以降政府は我が国の企業に対して女性役員比率を高めるよう促しており、女性の役員になれる候補者の増加がみられない現状を踏まえると、社外取締役の兼務数は今後さらに増加していくことが予想される。 本研究はこうした観点から、ジェンダーによって、複数社兼務する社外取締役が各社に対して均一に希少な時間を費やしているのではなく、規模の大きな企業に偏って費やしているのではないか、という評判維持行動に差があり、それが企業業績にも影響を与えているのではないか、という点と、全取締役において女性割合と兼務状況、及び取締役の独立性が企業業績に与える効果をわが国の企業を対象に検証し、女性の役員登用に向けた政策提言の留意点を提示するものである。 本研究は4年計画の研究であるが、この研究に必要なデータは販売されておらず、独自調査が不可欠である。使用するデータは、東証一部上場企業及び東証プライム上場企業に属する国内企業の取締役、監査役がそれぞれ各社の取締役会、監査役会に何回出席し、取締役会、監査役会は何回開催されていたかを性別を含めて測定するものである。このデータは従来の研究において収集されたことがない。 今年度は当初1年分のデータ収集を予定していたものの、予定よりデータ収集が進み、2年分の上記データを収集することができた。これにより、分析結果を報告することが大幅に早期化できることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は役員データ(東洋経済新報社2019年9月版、2020年9月版)を購入した。これは取締役や監査役の氏名・性別が含まれているデータである。 そして、本研究が独自に調査しなければならないデータとして、2018年度、2019年度の一部上場企業における、社外取締役および社外監査役の取締役会参加回数、取締役会開催数、監査役会参加回数、監査役会開催数のデータの調査収集が完了した。これらのデータを組み合わせ、更に企業の業績データと組み合わせて分析している。 企業の業績データは日経Needs CGESより収集が完了した。 これら三つのデータを性別カテゴリーに分けて分析を進めている。クロスセクションデータでの記述統計量の算出とデータの概観を行っているところ、複数社兼務の状況とジェンダーに関する新たな知見が得られており、これを経済学的な分析によって検証を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で使用するすべてのデータの収集が済んでいないため、2023年度も当初計画の通り、社外取締役および社外監査役の取締役会参加回数、取締役会開催数、監査役会参加回数、監査役会開催数の調査収集を進めていく。また、役員データおよび企業の業績データも2022年度と同様に新しい年度のバージョンを収集する。 これらのデータを2022年度に調査したデータと組み合わせることで、企業のパネルデータを構築することができる。これによって、時間を通じた分析が可能となる。分析は統計ソフトウェアSTATAを主に使用する予定である。 2023年度はデータの調査収集を進めながら、2022年度に収集できたデータを使った単年度のクロスセクション分析も行っていく予定である。既に収集しているデータから新たな知見も得られているため、この結果をまとめて公表していく予定である。
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