研究課題/領域番号 |
22K01449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
寳劔 久俊 関西学院大学, 国際学部, 教授 (90450527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 中国 / 社会保障 / 介護 / 医療 / 高齢化 / 農村 |
研究開始時の研究の概要 |
人口の高齢化と過疎化が進行し、地域内の経済格差が拡大する中国農村部において、介護保険の普及と介護サービスの増進は喫緊の政策課題である。この介護保険と介護サービスの拡充にあたり、要介護者が希求するサービスと介護事業者が提供するサービスとの摺り合わせが必要不可欠である。そこで本研究では、中国沿海部の都市近郊でアンケート調査(離散選択実験)を実施する。本調査データを利用した実証分析を行うことで、高齢要介護者の介護サービスに関する需要構造を定量的に定式化する。さらに、介護市場の構造的な歪みを検証することで、介護サービスの満足度と効率性を向上させるための介護保険・サービスの制度設計を提案していく。
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研究実績の概要 |
人口の高齢化と過疎化が進行し、地域内の経済格差が拡大する中国農村部において、介護保険の普及と介護サービスの増進は喫緊の政策課題となっている。介護保険と介護サービスの拡充にあたって、介護事業者による自助努力と、事業者を指導・監督する行政の役割に加え、要介護者が希求するサービスと介護事業者が提供するサービスとの摺り合わせが必要不可欠である。このような問題意識のもと、本研究では中国沿海部の都市近郊地域において、医療・介護サービスを運営する複数の施設を選出し、その施設の利用者から調査対象者を無作為に抽出する。そして調査対象者に対して異なる処置を施した上で、アンケート調査による離散選択実験を実施するものである。 科研費研究の2年目となる本年度(2023年度)は、中国における医療・介護に関する最新の研究資料の収集を行うとともに、現地調査(延長中の別の科研費予算を利用)を通じた介護サービスの実態把握に努めてきた。研究資料の収集については、日本語や英語文献にのみならず、中国国内で出版される論文・研究書・統計資料の収集を広範に行い、中国農村の介護・医療の現状と直面する課題について検討を進めてきた。他方、現地調査では江蘇省の南京市と無錫市に所在する複数の介護施設を訪問し、介護事業者の経営状況や介護サービス提供者の就労状況、入居者の生活状況や施設・サービスに関する要望などのヒアリング調査を実施した。 さらに本科研費研究では、中国沿海部の都市近郊地域でアンケート調査を来年度に実施することを計画している。そのため、本年度は質問票の内容と構成、調査対象地域の具体的な選定方法、標本抽出の方法、調査票の内容などについて、オンライン会議システムの利用や現地調査などを通じて、中国側の研究協力者との間で詳細な意見交換と協議を進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度(2023年度)は、中国国内における新型コロナウイルス(COVID-19)に伴う都市部のロックダウンが解除された。そのため、中国における現地調査が可能となり、江蘇省内の複数の介護施設を訪問するとともに、アンケート調査の実施に向けた現地協力者との具体的な協議も実施した。さらに、中国における医療・介護に関する最新の研究資料と統計データの集計に努めることで、アンケート調査の標本設計と調査票の構成に関する大枠が固まってきた。 以上の理由から、「(2)おおむね順調に進展している」と評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
中国における介護保険と介護サービスの拡充にあたって、介護事業者による自助努力と、事業者を指導・監督する行政の役割に加え、要介護者が希求するサービスと介護事業者が提供するサービスとの摺り合わせが必要不可欠である。本科研費研究ではこのような問題意識のもと、高齢者介護の現状と課題に注目し、医療・介護のサービスと保険が果たす経済的機能とその限界、そして改善のための処方箋を提示することを主たる目的とするものである。 この研究目的を達成するため、本年度(2023年度)に引き続き、2024年度も介護事業者が提供するサービス内容と経営状況に関する現地調査と情報収集を行う。さらに2024年度には、介護サービス利用者に対するアンケート調査を実施する予定である。調査対象地域の選定と調査対象者の抽出方法に関しては、現地協力者との詳細な協議を行った上で決定し、アンケート調査の作業は現協力者の所属機関に委託する。そしてアンケート調査の円滑かつ効率的な遂行を実現するため、現地協力者と密に連絡を取りながら調査の運営を行う。その際、可能であればアンケート調査の実施予定の時期に現地を訪問し、現地協力者や地元の関連団体との連絡・調整にも取り組む。
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