研究課題/領域番号 |
22K01452
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 亮 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (30516000)
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研究分担者 |
米本 清 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (10462631)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 産業連関 / 一般均衡 / 海運政策 / 災害リスク / 政策 / 港湾整備 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は以下のような問いに対し特に定量的な答えを与えることを目的とした、分析の枠組み構築も含む研究を実施する。 ①地方政府が自地域の厚生を最大化するために選択する分権的産業誘致政策(各産業への補助金や税制優遇)は、地域間外部性を通じてどのような歪みをもたらすか。また、歪みの主要な発生源と帰着先はどの地域/産業か。 ②内生的政策がインフラ整備効果の予測に与える影響。上記で考えたような地方政府の反応を考慮したとき、高速鉄道などのインフラ政策の効果は、政策変更を無視した従来のモデルの予測と比べて、どのような地域や産業で大きく異なるか。 ③上記分析枠組みの交通インフラ整備政策への応用。
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研究実績の概要 |
伊藤・米本は共同で交通インフラ整備の波及効果と便益を産業連関表によって簡易推計する手法の開発を行なった。従来の産業連関分析では総生産の変化が主な分析対象であったが、本研究では非線形の一般均衡交易モデルを線形近似することにより、一般均衡分析と整合性のあるレオンチェフモデルの拡張を行うことを試みた。得られた誘導形はミクロ基礎づけを持ちながら、パラメータ推計は不要でレオンチェフ逆行列と同等の扱いやすさを持つ。また、線形近似による誤差の程度は、現実的に十分大規模なインフラ整備を考慮しても全効果の数%にとどまるため、実務的な応用性は高いと考えられる。これらの成果は査読付き国際雑誌である、Economic System Research誌に投稿し掲載されている。 また本年度はこの研究をさらに拡張し、東アジア産業連関表を用いた海運政策の効果分析に応用するための準備を行なった。主に米本がデータ収集をと整備を行う一方で、伊藤はその理論的基礎として、海運産業における防災インフラ整備モデルの理論的研究を進めた。この研究では、災害リスクに直面する二港湾の開発者がそれぞれ防災インフラ整備投資を行う時、災害の独立性のもとでインフラの相互的リスク回避機能が増加することで、分権的防災投資が課題になりやすいという結果を導いた。また、港湾間の距離が長い場合には、リスクの相互回避が困難になるため各港湾でより多くの防災投資が必要になるにも関わらず、港湾間の競争が緩和される結果、防災投資がかえって減少することで社会的非効率性が増大することが明らかにされた。これらの結果の一部は国際学会で報告済みである
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本モデルは既に完成し、査読付き国際ジャーナルに掲載済みである、また海運におけるインフラ整備効果の基本的な理論分析と、東アジアを中心とした産業連関表の収集と整理も進んでおり、これらの部分的な成果を基本モデルをベースとして統合することで、大幅な研究の進捗があると見込まれる
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は伊藤。米本共に個別の研究を行い、それぞれが十分な成果と進捗を得ることができた。そこで次年度はそれらの成果を基本モデルの枠組みで統合し、大幅なブレークスルーが得られると期待される。具体的には、簡易なモデルに基づく海運政策の理論研究結果を、既に完成済みの一般均衡型産業連関モデルに落とし込み、そこに新たな産業連関表のデータを適用することで、政府の意思決定を内製化したより政策的な分析を行うことが可能になると考えられる。
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