研究課題/領域番号 |
22K01459
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
萬行 英二 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (30421233)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 乳幼児期 / 親の社会経済ステータス / 世代間影響 / 長期的影響 / 教育 / 家族関係 / フィンランド / 日常の栄養摂取 / 胎児期 / インドネシア / 米生産 / SES |
研究開始時の研究の概要 |
研究テーマ:胎児期および乳幼児期における日常の栄養摂取が、成人後の教育、健康、経済状況に与える影響~インドネシアにおける降雨量変動と米生産変動を自然実験として捉えて 本研究の重要性にもかかわらず、本仮説について因果推定を行った既存研究は2つしかない。その理由は、胎児期および乳幼児期という長期に渡る日常の栄養摂取についてデータを取ることが難しいことと、日常の栄養摂取という個々の家計の選択行動は、子どもが成人後の健康や経済状況などの結果変数を決定する上で内生的であるためである。この問題に対処するため、本研究では、インドネシアの食文化や米農業の知識に基づき、降雨量変動を米生産変動の操作変数として利用。
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研究実績の概要 |
本研究は,幼児期における日常の栄養摂取が教育や健康などの人的資本形成に与える長期的な影響を分析するものである。幼児期における日常の栄養摂取から成人後の教育や健康への因果関係を分析する場合,研究者が観察できない家計の属性(たとえば両親の社会経済ステータス)が内生性の問題を引き起こす。これに対処するため,本研究ではインドネシアの州レベルの米生産の変動を操作変数に使用した。ところが,入手できるデータにおいては,州レベルの米生産の時系列的な変動と,それぞれの州に居住する家計の米消費の時系列的な変動の相関が想定以上に低く,本研究を継続するには追加のデータが必要になった(県レベルの米生産データ;地球表面の植生指標や土地利用の地理情報からArcGISを使って推定)。これには相応の時間を要するため,同様の仮説を異なるデータを使って検証することとした。 1991年のソ連崩壊と欧州経済の不況が重なり,フィンランドは1991年から1993年まで経済的大不況に陥った。フィンランドについては,1930年代の大恐慌よりも1990年代初頭の大恐慌のほうが,経済成長の落ち込みは深く,失業率はより大きく跳ね上がった。この大恐慌が次世代(大恐慌時に0歳から18歳であった世代)への教育投資に与えた影響を,親が大学教育を受けた家計とそうでない家計に分けて分析した。フィンランドの国勢データには個人固有番号が含まれており,親については学歴や職歴がわかり,こどもについては学歴がわかる。さらに,個人固有番号を使って親子関係もわかるので,親の職業別に,大恐慌時に失業率がどれほど跳ね上がったか数値化できて,これを各家計(親とその子ども)が経験した大恐慌ショックの深さの指標とした。結果としては,親が大学教育を受けていない家計では,親が大学教育を受けた家計と比較して,大恐慌が子供の高校および大学進学に与えた悪影響はより大きかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初からの研究計画の変更はあったものの,本研究の仮説検証にふさわしい別のデータを使用して仮説検証を行い分析結果を得た。第1ドラフトの執筆も完了して,学会参加も含めてフィードバックももらっている。
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今後の研究の推進方策 |
学会参加など,ペーパーについてのフィードバックを得ることを継続するとともに,有力国際誌への投稿も始める予定である。
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