研究課題/領域番号 |
22K01461
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松林 洋一 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90239062)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | インバウンド需要 / 為替レート / リスク |
研究開始時の研究の概要 |
インバウンド需要とは外需(輸出)の一つであり、内外の様々な要因によって大きく変動する特徴を有しており、多様なリスク要因を内包している。翻ってコロナ禍が収束した後、変化の激しいインバウンド需要を日本経済を拓く新たな原動力として位置付けるには、インバウンド需要に関する精緻な考察と深い構想が不可欠である。そこで本研究では、「インバウンド需要におけるリスクの多様性の定量分析:ポストコロナにおける新たな戦略」という研究テーマを設定し、詳細な定量分析を通じて、考察を行っていく。
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研究実績の概要 |
インバウンド需要とは外需の一つであり、国内外の様々な要因によって大きく変動する特徴を持っており、多様なリスク要因を内包している。翻ってコ ロナ禍が収束した後、変化の激しいインバウンド需要を日本経済を拓く原動力として位置付けるには、インバウンド需要に関する精緻な考察が不可欠である。そこで本研究では「インバウンド需要におけるリスクの多様性の定量分析:ポストコロナにおける新たな戦略」という研究テーマを設定し、詳細 な定量分析を通じて考察を行っていく。令和5年度は、「研究課題1」「インバウンド需要における為替リスクと所得リスク:個票データによる分析」、「研究 課題4」「インバウンド需要と経済成長:地域間格差に関する定量分析」について研究を行った。 研究課題1では、訪日外国人観光客に関する個票データ(プールデータ)を用いて、所得要因、為替要因がインバウンド需要に与える影響を詳細に分析した。 分析結果より、いずれの要因もインバウンド需要に強く影響を与えていた。特に為替レートの短期的変動はインバウンド需要に対するリスク要因にもなり得る点 が明らかにされた。研究成果は海外査読雑誌に投稿し受理された。 研究課題2では都道府県別のパネルデータをセットし、地域ごとにインバウンド需要が経済成長に異なる影響を与えることを明示的に分析する手法を用いて検 証を試みた。具体的には「Genralized Weighted Panel Regression(GWPR) 」という手法を用いて分析した。研究成果は英語論文にし、目下海外査読誌への投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では4つの研究課題を設定し、インバウンド需要における様々なリスク要因の影響について考察を進めている。令和4年度はその中で「研究課題1」 「インバウンド需要における為替リスクと所得リスク:個票データにいる分析」、「研究課題4」「インバウンド需要と経済成長:地域間格差に関する定量分 析」の2つの課題の考察を進めることができた。 研究課題1については訪日外国人観光客に関する個票データを用いて、訪日外国人の支出額における為替レートや所得等の影響を詳細に検証した。検証結果よ り、為替レート、世帯所得は日本での支出に強く影響していることが確認された。研究成果は「Individual Tourist Expenditures in Japan during the Inbound Tourism Boom Period 2015-2017: Empirical Evidence from Micro Survey Data」としてまとめ、海外査読誌へ投稿し(Asian Economic Journal)、受理された。 研究課題4については、GWPRによる分析を行った結果、アジア諸国からの外国人観光客が相対的に多い西日本地域において、経済成長への貢献度が高いことが 確認された。研究成果は「Regional Variation in Inbound Demand and Economic Growth in Japan: Application to Geographically Weighted Panel Regression Analysis」としてまとめ、海外査読誌Journal of Economic Integration)へ投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は「研究課題3」「オーバーツーリズムの宿泊施設稼働率、収益率への影響:個票データに関する検証」について考察する。2010年代にインバウン ド需要が活況を呈していた時期、日本の一部地域に訪日外国人観光客が殺到するという現象が散見された。所謂「オーバーツーリズム」と呼ばれる現象である。コロナ禍が収束し、京都、鎌倉など では、再び多数の訪日外国人観光客が殺到している。翻ってオーバーツーリズムについてはこれまで十分な学術的な研究蓄積があるとは言い難い状況である。特に宿泊施設の利用度(稼働率)と供給制約の観点から、オーバーツーリズムついて検証した研究は皆無である。そこで本研究では「宿泊旅行統計」の個票データを用いて、個別宿泊室の稼働率が閾値を超えている状況を、外国人利用率との関係で定量的に考察することにする。また稼働率が閾値を超えている場合、宿泊施設が増設(設備投資の増加)がなされているか否かを、京都市や大阪市における個別データを接合することによって、詳細に検証する。
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