研究課題/領域番号 |
22K01471
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田中 智泰 近畿大学, 経営学部, 教授 (20511182)
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研究分担者 |
浦上 拓也 近畿大学, 経営学部, 教授 (10351561)
中山 徳良 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90278854)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 生産性 / 効率性 / 確率フロンティア分析 / データ包絡分析法 / 上下水道 / ベンチマーキング |
研究開始時の研究の概要 |
本格的な人口減少社会に突入し,非常に厳しい経営状況に直面しつつある上下水道事業では,経営基盤の強化が喫緊の課題になっている.政府は上下水道事業者のパフォーマンスを定量的に把握し,ベスト・プラクティス(優良事例)を明確にすることで,各事業者に経営改善を促すベンチマーキング手法の導入を検討している.本研究では,まず上下水道事業が直面する地理的・地形的条件や歴史的経緯などの事業環境をコントロールし,投入産出構造を精緻化した上で,経済理論に基づくベンチマーキング手法を確立することを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,上下水道事業が直面する地理的・地形的条件や歴史的経緯などの事業環境をコントロールし,投入産出構造を精緻化した上で,経済理論に基づくベンチマーキング手法を確立することである.この目的を達成するために,2022年度に実施した研究成果は以下の三点である. 第一に,上下水道事業に関する政策や最新情報を収集したことである.2022年度後半に国立国会図書館に出張し,上下水道事業に関する政策や最新の情報について文献の収集を行った.また,日本下水道協会の担当者と下水道事業を取り巻く経営課題について意見交換する機会を得,今後の分析の方向性について有用な情報を得ることができた. 第二に,上下水道事業における費用構造,生産性,効率性の計測に関する先行研究をサーベイし,分析モデルや投入と産出をはじめとする分析に必要な変数を精査した. 第三に,データベースの構築を進めた.『地方公営企業年鑑』と『下水道統計』をもとに,2000年度から最新年度までの公共下水道事業の事業概要と財務データに関するデータベースを整備した.これらのデータベースに加えて,事業者の事業環境(地理的,地形的要因)に関するデータベースの整備にもとりかかった.事業環境に関するデータベースは2023年度の早い時期に完成予定である. 以上の経過をもとに,2023年度公益事業学会全国大会と下水道研究発表会において公共下水道事業に関する研究報告を行う準備をした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度前半は新型コロナウィルスの感染拡大により出張する機会を作ることが難しかったこと,そして担当者との日程調整がうまくいかなかったことにより,上下水道事業を所管する総務省,厚生労働省,国土交通省へのヒアリング調査が十分に実施できなかった. データベースの構築に関しては『地方公営企業年鑑』ならびに『下水道統計』のデータの入手・加工がほぼ終了し,事業者の事業概要や財務テータの整備は最新年度までほぼ完了している.しかし,これらの膨大なデータの整備に時間を要したため,事業者の事業環境(地理的,地形的要因)に関するデータは現在整備途中である.
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今後の研究の推進方策 |
まず2023年度の早い時期に実証分析に必要なデータセットを完成させ,これまでの研究の経過を踏まえて研究報告を行う予定である.2023年6月に開催される公益事業学会において,事業者の事業環境を考慮した公共下水道事業の生産性,効率性分析を研究報告を行う予定である.また,研究を進めていく中で近年事業者が公表している経営戦略の重要性を認識した.そこで,同年8月に開催される下水道研究発表会において,経営戦略の策定が公共下水道事業者の生産性,効率性の向上に貢献しているのかについて実証分析を行い,研究報告する予定である. これらの研究報告に加え,2023年度は上下水道事業者の事業環境と事業構造を精査し,比較対象とする事業者グループの特定化を行う予定である.そして,各グループの投入産出構造を明確化し,確率的フロンティア法とDEAによりベスト・プラクティスの明確化と経営効率化を検討するための経営指標を特定化する計画である.国内の研究分担者と海外の研究協力者とは定期的にオンラインミーティングを行い,分析モデル,分析方法,結果の妥当性を検証しながら進めていく. そして,2024年度に国際学会での研究報告と海外ジャーナルへの投稿ができるよう,準備をすすめていきたい.
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