研究課題/領域番号 |
22K01478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
後藤 大策 広島大学, IDEC国際連携機構:CEPEAS, 教授 (80432847)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 行動介入 / 効果検証 / 環境保全型農業 / フィールド実験 / 行動開発経済学 / RCT型フィールド実験 / 社会的コミットメント |
研究開始時の研究の概要 |
途上国農家の技術採用においては,社会的学習を踏まえた行動介入の効果検証が急速に科学的知見が積み上がりつつある.これらの研究では,技術の新規採用行動に焦点を当てており,短期的な観点から行動介入の設計と効果検証が行われてきた.しかし持続可能性を考慮した環境保全型農業技術の採用においては,いかにその採用行動の継続を促すかといった長期的な観点からの介入設計と効果検証が求められる. 本研究では,途上国の小規模農家に環境保全型農業技術の長期的な採用を促すために,社会的学習を踏まえた行動介入の長期効果や,その介入効果を維持させるための社会的コミットメントの併用効果を,フィールド実験手法を用いて明らかにする.
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研究実績の概要 |
途上国農家の技術採用においては,他人の知識や経験から学ぶ社会的学習を踏まえた行動介入の効果検証が近年急速に展開され,科学的知見が積み上がりつつある.これらの研究は,農家による技術の新規採用行動に焦点を当てており,短期的な観点から行動介入の設計と効果の検証が行われてきた.しかし開発の持続可能性を考慮した環境保全型農業技術の採用においては,短期的な観点のみならず,いかにその採用行動の継続を促すかといった長期的な観点からの行動介入の設計とその効果の検証が強く求められる. そこで本研究では,途上国の小規模農家に環境保全型農業技術の長期的な採用を促すために,社会的学習を踏まえた行動介入の長期効果や,その介入効果を維持・増進させるための社会的コミットメント・メカニズムの併用効果を,フィールド実験手法を用いて明らかにする.この研究目的を達成するために,次のような5つの主要な研究課題を設定した. [1]2018 年に行ったフィールド実験研究の追跡調査,[2]ベースライン調査と介入の無作為割当,[3]フィールド実験における介入開始,[4]短期フォローアップ調査,[5]長期フォローアップ調査 2023年度は,[3]と[4]に主眼を置いた研究活動を実施した.具体的には,2022年に行った茶生産農家調査をベースとしつつ,各農家の農地の土壌検査を行い,土壌の劣化状況に関する科学的結果を農家に知らせることが,彼らの有機肥料導入・使用を促進するかという行動介入フィールド実験を実施した.結果としては,土壌検査結果を科学的根拠として提示をしても,その農地を使っている農家の有機肥料導入を促進することはないことが明らかとなった.ただし,土壌検査結果を返した農地の近隣の農地を使っている農家の有機肥料導入を促進する可能性を示す結果も併せて得た.今後は得られた結果を精査し,追加的な調査や実験をして,[5]の可能性を探る.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の理由により,おおむね順調に進展していると評価した. (1)ベトナム北部農村における茶生産農家の家計行動調査とフィールド実験を円滑に実施できた. (2)当初の計画にはなかった茶生産農家を対象とした複数のリスト実験を実施し,社会的望ましさバイアスを除いた真の行動情報を科学的根拠を入手し,フィールド行動介入実験にフィードバックできた. (3)行動介入に関連するフィールド実験とリスト実験をベトナムの別の文脈においても広く展開し,多くの結果を得た. (4)これまでの学術的成果は2本のIF付き国際学術誌に発表できた.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度(3年目)は,本研究の最終化を見据えて研究課題[4], [5]に取り組み,結果の検証と取りまとめを進める.学術的成果は論文としてまとめ,水準の高い国際学術誌での発表を目指す.効果的に本研究活動を展開するために,次の工夫を行う. (1)現地大学の協力者に最新の成果を報告し,取りまとめに向けたフィードバックを得る. (2)結果を速報値として取りまとめ,国内外の研究会やワークショップで積極的に報告し,参加者からの助言やコメントを募り,それらを論文作成にフィードバックすることで,論文の改善とレベルアップを図る.
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