研究課題/領域番号 |
22K01479
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 旭川大学 |
研究代表者 |
大野 成樹 旭川大学, 経済学部, 教授 (50333589)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 米国の非伝統的金融緩和政策 / 金融正常化 / 新興国 / BRICs / ベクトル自己回帰分析 / インパルス応答 / 新興国経済 / 米国の非伝統的金融政策 / 米国の金融正常化 |
研究開始時の研究の概要 |
米国経済はコロナ禍の打撃から回復しつつあるが、物価の上昇を受け米国連邦準備理事会(FRB)は2022年中に利上げを開始した。では米国の金融正常化は新興国にいかなる影響を及ぼし、2014年のテーパリングや2015年の利上げ開始とどの程度異なる効果をもたらすのであろうか。また、新興国の中でも資源への依存度の高い国と低い国とでは金融正常化の影響は相違するのであろうか。 本研究は、米国の非伝統的金融緩和政策と金融正常化が、国際商品先物やブラジル、ロシア、インド、中国などの新興国経済に与える影響を分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、米国の非伝統的金融緩和政策と金融正常化が、ブラジル、ロシア、インド、中国(BRICs)の経済に与える影響を明らかにすることを目的としている。今年度は国際原油価格、米国のフェデラル・ファンド・レート、米国株価のデータに加え、BRICs諸国の対米ドル為替レート、株価指数、1年物国債利回りのデータをもとに、時変ベクトル自己回帰(TVP-VAR)分析を行った。分析期間は2007~2018年に設定した。これは、伝統的金融緩和、非伝統的金融緩和、テーパリング、金利引き上げといった、様々な金融政策の局面を含むためである。今年度の研究では、上記の期間において、米国の金融政策ショックがBRICs諸国の金融市場に与える影響がどの程度異なるかを推計した。 インパルス応答分析の結果によると、フェデラル・ファンド・レートのショックがBRICs諸国の為替レートに与える影響は、2007~2012年頃においては、中国ではほとんど観測されなかったのに対し、ブラジル、ロシア、インドにおいては負の影響が見られた。これは米国金利の引き下げショックが、ブラジル、ロシア、インドの通貨安をもたらすことを示唆している。さらに詳しく見ると、伝統的緩和政策が適用された時期は為替レートへの影響が相対的に強かったが、非伝統的緩和政策が実施された時期は、為替レートへの負の影響が弱まる傾向が見られた。 また、米国が2015年末にフェデラル・ファンド・レートを引き上げてからは、BRICs諸国の為替レートに対する正の影響が強まったことも明らかになった。米国の金利高が、米国への資金流入を促し、BRICs諸国の通貨安を誘発したことを示唆していると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度においては、原油先物、米国、BRICs諸国に関する週次データを整理した上で、TVP-VARモデルを構築した。暫定的な推計ながら、インパルス応答分析から興味深い結果を導き出すことができた。この意味で、本研究課題は順調に進展していると言える。 今後、計量分析において仮説と異なる推計結果が導き出される可能性も否定できない。その場合は、モデルのデータを再検討することや仮説自体を変更することが必要になると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、米国のフェデラル・ファンド・レートのショックがBRICs諸国の為替レートに与える影響に関する分析に大半の時間を費やした。次年度以降は、米国のフェデラル・ファンド・レートのショックがBRICs諸国の株価や金利に与える影響、さらには米国の株価や国際原油価格のショックがBRICsの金融市場に与える影響を分析する方針である。その際、BRICs諸国の個別の経済情勢、政策動向などを丁寧に調査していくことが不可欠である。
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