研究課題/領域番号 |
22K01485
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
黒田 敏史 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (80547274)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | サーチコスト / 消費者レビュー / メディアバイアス / 抱き合わせ / 需要関数 / オンラインコマース / 統計的学習 / 構造推定 / サーチ理論 / 組織の経済学 / 企業行動 / 競争政策 / 社会政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生産者の学習過程を組み込んだモデルの構造推定を行い、生産者の学習が市場均衡の動学的過程に与える影響と、競争政策のシミュレーションを行います。 第一の対象は日本の携帯電話市場です。携帯電話市場において、非線形価格の設定において統計的学習が行われる事で、これまでの料金水準の変化がどこまで説明できるかを明らかにします。特に移動体通信事業者となることで費用構造が変わった結果、競争圧力が強まるかについて検討を行います。 第二の対象は、日本のメディア産業です。既存研究が外生的としてきたメディアの報道内容をメディアが市場環境を学習して内生的に決める変数として分析するモデルを構築し推定します。
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研究実績の概要 |
生産者の学習行動を解明するため、携帯電話の需要関数の推定、メディア市場の需要関数の推定と需給均衡の解明、オンラインコマース市場における需給データの整備と消費者行動モデルの推定を行った。 携帯電話市場の分析では、固定ブロードバンドとモバイルデータ通信の価格プランの組み合わせに関する消費者の完全情報を仮定した消費者需要・供給行動の需給均衡モデルの推定を行った。消費者行動は一定の精度で推定ができたものの、供給行動については不十分な段階であり、供給側のモデルについてのさらなる探求が必要である。 メディア市場の分析では、過去に実施したフィールド実験データから、需要関数を推定し、生産者の供給行動の動機となる消費者需要のパターンを明らかにした。今回推定に利用したデータ期間は2016年12月の一部の期間であり、当該期間において民放と公共放送の報道内容の違いは消費者の選好と整合的であり、企業は消費者の求める傾向のある情報を報道していることを明らかにした。今後は期間を通じた供給の変化を分析することで、企業の学習行動を明らかにしたい。 オンラインコマース市場では企業が行う利潤最大化のための、価格や情報提示についての探索行動の結果が観察可能である。そこで、2023年度にオンラインコマース市場における価格・数量のデータを購入するとともに、Webスクレイピングによって取得した価格・Web掲載情報と突合し、オンラインコマースにおける消費者行動、生産者行動が共に推定可能なデータベースを整備した。今後は消費者サーチがある状況における供給側の情報提示のモデルを構築し、需給均衡モデルの推定を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メディア市場の分析では、需要と供給の関係についての推定が修了している。 携帯電話市場の分析では、生産者行動の分析が不十分な段階であるが、時間のかかるデータの整備と需要推定は完了している。 オンラインコマース市場の分析では、データの収集・整備は概ね完了している。
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今後の研究の推進方策 |
メディア市場の分析については、消費者が完全情報で近視眼的な下での需要・供給モデルの推定ができているため、研究の完成に向け、供給行動を学習行動として分析を行いたい。 携帯電話市場の分析においては需給均衡モデルを完成させ、プラン導入前に企業の取りこぼしていた利潤を特定し、それを吸収するようなプランが作れているかを明らかにしたい。 オンラインコマース市場の分析においては、消費者にサーチコストが係る状況における企業の最適化行動についての理論のサーベイを行い、モデルの構築を行いたい。
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