研究課題/領域番号 |
22K01489
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
森 祐介 立命館大学, 経営学部, 准教授 (50747590)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
|
キーワード | 企業の境界 / 損失回避 / リスク回避 / ホールドアップ問題 / 再交渉費用 / 資産所有構造 / 参照点依存型選好 / 権限関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題の目的は、企業の境界問題について、新たな行動経済学的理論モデルを提示することにある。 企業の境界問題とは企業がインプット(部品など)を外注すべきか、内製すべきかの選択問題である。企業の境界分析では予てから、インプット取引における契約内容の事後修正に主眼を置いてきた。本課題では、取引参加者の満足度が事後修正の結果と結果の評価基準との乖離に左右される状況下で、より効率的な事後修正を実現する企業の境界を明らかにする。既存研究が当初の契約内容を評価基準と考えるのに対し、本課題では、修正結果についての各参加者の期待を評価基準と捉え、企業の境界が修正手法ひいては各参加者の期待を左右すると考える。
|
研究実績の概要 |
2022年度は企業の境界の行動経済学的アプローチ構築に関する基礎研究と、企業の境界と再交渉費用の関係についての理論研究を行った。 前者については、基礎理論モデルを構築し、研究会報告を行った。当初計画では、研究会報告ののち、コメント・指摘を受けた内容改善を施したうえで、同研究のワーキングペーパーを作成する予定であった。しかしながら、研究報告を通じて、同研究に先んじて、標準的な(行動経済学的仮定を用いない)定式化の可能性を追求することとした。 後者については、既存の企業の境界研究では注目されてこなかった、再交渉費用と企業の境界の関係(企業内取引の場合のほうが、企業間取引の場合より、再交渉要求が容易)に注目し、財産権理論の拡張を行った。結果として、企業間取引における高い再交渉要求費用が、ホールドアップ問題を緩和し、標準的な財産権理論では最適になりえない共同所有が最適な資産所有構造になりうることを示した。財産権理論の枠組みの下で、共同所有の最適性を示す既存研究は複数あるが、それら既存研究の結果が共通して「共同所有の下では、各取引参加者の外部機会が最小化される」という仮定に依拠するのに対して、本研究の結果は同仮定に依拠しない形で導出されるという点で、共同所有の最適性を導く新たなメカニズムを明らかにしたといえる。同研究成果はワーキングペーパーとしてSSRNにて公開中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先述の通り、ワーキングペーパーの作成・公開に至った研究はあったものの、当初計画の研究に関しては、別の方向性での研究遂行を併せて検討することとなった結果、想定よりも遅い進捗と言わざるを得ない。
|
今後の研究の推進方策 |
企業の境界の行動経済学的アプローチ構築に先立って、標準的仮定のみに依拠する定式化の模索を継続する。加えて、企業の境界と再交渉費用の関係についての理論研究については、雑誌投稿を目指して、学会・研究会報告を通じた内容改善を行う。
|