研究課題/領域番号 |
22K01498
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
福井 清一 神戸大学, 国際協力研究科, 名誉教授 (90134197)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 小口医療保険制度 / 現在バイアス / 損失回避性向 / 社会的選好 / 小口医療保険 / 非合理的心理 / 途上国の貧困緩和 |
研究開始時の研究の概要 |
小口医療保険制への加入率が低い要因としては、既存の保険スキームの不備、保険事業者や医療機関に対する不信、インフォーマル保険制度の存在、潜在的保険需要者の非合理的心理(現在バイアス、損失回避性、直近バイアス)などが指摘されている。 本研究では、これらを考慮し、実験ゲーム等により計測した個人特性の数量指標と、別途推計した新しい保険スキームに対する個人の支払い意思額のデータを用い、個人特性が新たな保険スキームへの需要にどのような影響を与えるかを推計することにより、非合理的心理の是正が、小口医療保険の加入率向上に有効な政策手段であるかを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、行動経済学視点から小口医療保険加入率を向上させるための方策を検討することであり、そのために、実験ゲーム等により計測した個人特性の数量指標と、別途推計した新しい保険スキームに対する個人の支払い意思額のデータを用い、個人特性が新たな保険スキームへの需要にどのような影響を与えるかを推計し、非合理的心理の是正が小口医療保険の加入率向上に有効な政策手段であるかを検証しようというものである。 調査対象地域であるカンボジア農村において、2022、23年度に予定していた調査は、コロナ禍や個人的事情が重なり、本格的に実施することが出来なかった。 そこで、本研究の開始前の2021年以降、コロナ禍によりカンボジア農村社会が激変していることも考慮し、本格的調査の実施を繰り下げ、まずは、2023年度末から2024年度初旬にかけて本格的調査を再設定するために必要な情報を収集すべく短期間の予備調査を実施した。その結果、従来型のコミュニティーを基礎とした小口医療保険ではなく、小口信用機関が顧客に提供する医療保険が普及しているという注目すべき事実が明らかとなった。この点を踏まえ、本格的調査は2024年9月に実施することとした。 2023年度における研究成果は、①過去の科研費による調査で収集したデータにもとづき、本研究の目的に即して離散型選択モデルを利用した小口医療保険の需要分析を行い、損失回避性や現在バイアスが小口医療保険の購入に影響を与えることを明らかにしたこと、および、②CSES2017,2019,2021から構築したデータ・ベースにより、小口信用機関からの加重債務による破産と疾病との関係を分析し、従来指摘されている加重債務と疾病との強い関係が見出されなかったことである。①の成果は、国際学術誌に投稿中で、②の成果は2024年秋の学会で報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は、2022年度9月に調査を実施する予定であったが、コロナ禍による渡航制限のため、10月まで渡航制限が緩和されなかった。また、2022年度後半は、私大で常勤の仕事があり、2023年2月半ばまでは、授業や入試業務のため1週間以上の海外渡航は困難であったうため、十分な調査期間での調査の実施は困難と判断した。2023年度はそれまで勤めていた私大を定年退職したが、母の介護が必要となり2023年は国内旅行すらできない状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度、2023年度に繰り越した予算の中から200万円程度の予算を費やし、近年の円安も考慮し2024年9月に前年度に予定していた現地調査を新たな枠組みを用いることで規模を縮小し、以下のような手順で実施する予定である。 新たな枠組みというのは、仮想的医療保険ゲームとProspect Theory(PT)にもとづくリスク・ゲームを用いて、医療保険の選択とPTにもとづくリスク選好との関係を数量分析の手法を用いて明らかにしようというものである。 そのために、まず、カンボジアのシェムリアップ州農村地域において、150世帯を標本世帯として抽出し、これらの標本世帯の資産、所得、家族構成、過去の疾病経験、医療機関での治療経験、家族の健康状態、ショックに直面した場合の対応、過剰消費を防ぐためのコミットメントの方法などに関する家計調査、アンケート調査を行い、個人特性に関する基礎的情報を収集する。また、標本世帯員を対象に、仮想的医療保険ゲームに参加してもらい、各世帯がどのようなタイプ(保険を購入しないことも選択肢の一つ)の医療保険を選好するかを把握する。次に、リスク選好等を測定するための実験を行う。このようにして収集された情報を用い、世帯員の保険選択とPTにもとづくリスク選好の指標、および、世帯・個人特性との間の関係を、一般的多項選択ロジットモデルにより推計する。 仮想的医療保険ゲームでは、同一世帯に複数回ゲームに参加してもらうため、ゲームの途中で脱落する可能性を考慮し、脱落バイアスに対応する必要がある。本研究では、この点についてもIPW(Inverse probability weighted)の方法を援用して対処する。
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