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水害リスク情報の公開および浸水被害がリスク認知に与える影響に関する調査

研究課題

研究課題/領域番号 22K01508
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07040:経済政策関連
研究機関日本大学

研究代表者

安田 昌平  日本大学, 経済学部, 講師 (10875686)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード主観的災害リスク / 客観的災害リスク / 防災行動 / ヘドニックアプローチ / 水害
研究開始時の研究の概要

本研究では、日本における水害リスク認知に焦点を当て、具体的研究課題として以下の2点を取り上げる。第一に、浸水想定区域等の水害リスク情報が新たに公表された場合に水害リスク認知がどのように変化するのか、第二に、実際の浸水被害によって水害リスク認知がどのように変化するのかを、ヘドニックアプローチを用いて検証する。本研究課題は、「水害リスク情報を公開することによって、リスク情報に基づいた最適な立地選択を促すことができるのか」という問いに答えることが目的である。

研究実績の概要

本年度においては、詳細な空間データを追加したうえで分析を進めた。特に、推定モデルではtriple-DIDを採用することで、これまで考慮できていなかった、浸水想定区域内だが浸水被害を受けなかった地域と浸水地域間の係数の差の検定を可能にした。また、賃貸住宅市場が地域の平均的な不動産価値 と異なる傾向を示すかを確かめるために、固定資産税路線価のデータを資産評価システム研究センタ―から取得し、整理を行なった。
本論文は、近年多発する大型台風に伴う豪雨被害への対応として、政府が水害リスクの情報公開を進めていることに着目し、水害リスクが賃貸住宅市場に与える影響を通して、人々の水害リスク認知の変化をとらえることが目的である。これまでの日本を対象とした既存研究では、公示地価の変化を通して、水害リスク認知の変化を捉えようとしている論文が多いが、公示地価は郊外や地方で十分なサンプルサイズが確保できないという問題がある。また、公示地価では1年ごとの価格の変動しか観察できないことと、不動産鑑定士の鑑定評価をもとにしていることから、水害リスクをどの程度反映しているか定かではない。そこで、本論文では、アットホーム株式会社の賃貸マンションデータ(Joras提供)を用いる。本データでは、浸水被害前後の価格の変動を詳細に観察することができる。また、賃貸住宅市場という流動性の比較的高い市場について分析を行うことで、住民の水害リスク認知の変化をより正確に把握できると考える。分析結果から、災害前においては、浸水地域でのみ賃料の下落が確認でき、事前に水害リスクが認知されていた可能性がある。さらに、災害後には浸水地域で追加的な賃料下落傾向が見られた。一方、浸水想定区域内だが浸水被害を受けなかった地域では、賃料/㎡が上昇した。これは、先行研究の結果とも整合的で、事前のリスク認知にバイアスがある結果と言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時点で計画していた先行研究の整理、データの入手・整理・分析、国内学会での報告を完了している。また、コントロールグループの設定について、浸水地域からの距離のみではなく、浸水地域よりも上流、下流といった情報も用いて設定してみた方がいいなど、各所で頂いたコメントへの対応策も検討済みであり、現在、推定モデルを改良して推定作業を行っているところである。
したがって、「おおむね順調に進展している」と言えるだろう。

今後の研究の推進方策

来年度は、現在の分析結果を取りまとめ、国内・国際学会での報告に取り組む。さらに、国際誌への投稿を目指し、追加的分析を行っていく予定である。具体的には、現在使用しているマンションデータのほかに、アパートデータを追加し、物件属性等による異質性を考慮した分析を進める。さらに、アパートデータを追加することで、より空間的に密な不動産データを構築できるため、RDDなどの分析も考えている。最終的には、国が進めている災害ハザードエリアにおける開発抑制、移転促進に関する政策についても議論することで、持続可能性のある都市に向けた政策提言をしたいと考えている。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 相続税改正が賃貸住宅市場へ与えた影響分析2024

    • 著者名/発表者名
      三河直斗・安田昌平・行武憲史
    • 雑誌名

      季刊 住宅土地経済

      巻: 131 ページ: 27-35

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 水害リスクと認知バイアス -地価パネルデータによる実証分析-2023

    • 著者名/発表者名
      安田昌平
    • 雑誌名

      資産評価政策学

      巻: 47 ページ: 21-26

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Earthquake risk reduction and land value along geographic boundaries of extremely high-risk urban districts in Tokyo2023

    • 著者名/発表者名
      河端瑞貴・直井道生・安田昌平
    • 雑誌名

      KEIO-IES Discussion Paper Series

      巻: DP2023-013 ページ: 1-31

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 賃貸住宅市場における水害リスク認知と浸水被害の影響2023

    • 著者名/発表者名
      安田昌平・菅澤武尊
    • 学会等名
      応用地域学会 第37回 研究発表大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 自然災害リスクが不動産市場に与える影響についてー経済学の観点からー2023

    • 著者名/発表者名
      安田昌平
    • 学会等名
      大和不動産鑑定株式会社(社内セミナー)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Impact of flood zone information on rental housing market: Evidence from Kanto-Tohoku heavy rainfall2023

    • 著者名/発表者名
      安田昌平
    • 学会等名
      Research Workshop on Sustainable Society at 武蔵大学
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 賃貸住宅市場における水害リスク認知と浸水被害の影響2023

    • 著者名/発表者名
      安田昌平
    • 学会等名
      大阪公立大学 経済学研究科 研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 自然災害リスクと不動産市場の関係2023

    • 著者名/発表者名
      安田昌平
    • 学会等名
      中川理事長を囲む研究会2023(JARECO主催)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 空港騒音に対する住宅防音制度の影響分析2023

    • 著者名/発表者名
      安田昌平
    • 学会等名
      Applied Regional Economics Workshop 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 事例で学ぶ経済・政策分析のためのGIS入門 QGIS,R,GeoDa対応2022

    • 著者名/発表者名
      河端 瑞貴 編著
    • 総ページ数
      167
    • 出版者
      古今書院
    • ISBN
      9784772242301
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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