研究課題/領域番号 |
22K01509
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
片桐 満 法政大学, 経営学部, 准教授 (80909739)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 異質的企業モデル / 企業動学 / 労働市場 / 直接投資 / 経済成長 / 起業 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国では、低調な企業部門の新陳代謝が、経済全体の低生産性の原因であると指摘されて久しい。2000年代以降、企業部門のミクロデータを用いた実証研究が大きく進捗した一方、理論モデルに基づく定量分析が、海外と比較して圧倒的に不足している。以上の問題意識のもと、本研究課題では、①直接投資と人口動態・国際資金フロー、②企業の参入・退出と景気循環、③労働市場の柔軟性と起業スピリット、という補完的な3つの研究テーマについて、異質的企業を考慮した一般均衡モデルに基づく定量分析を行い、企業部門の新陳代謝がマクロ経済の成長に果たす役割と望ましい政策について、多角的な視点から明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究課題では、補完的な複数の研究テーマについて、異質的企業を考慮した一般均衡モデル(以下HFM)に基づく定量分析を行い、特にわが国経済において、企業動学がマクロ経済全体に果たす役割と望ましい政策の在り方について、多角的な視点から明らかにすることである。第一に、直接投資を通じた企業動学と人口動態・国際資金フローの関係について研究を進めた。人口動態は、既存研究でも国際資金フローの有意な決定要因として捉えられているが、本研究では、国際資金フローを直接投資と証券投資に分けてモデル化し、日本の少子高齢化の影響を分析している。定量分析では、(1)日本の経常収支と部門別貯蓄の動向は、人口動態の変化だけで十分に説明できること、(2)異質的な多国籍企業の直接投資に関する決定が、それらの動向を説明する鍵になることを明らかにした。第二に、労働市場の柔軟性が、起業スピリット、企業の参入・退出、経済成長に対してどういった影響を与えるのかという点に関して研究を進めた。2022年度は、研究年度の初年度ということもあり、既存文献のサーベイ、モデルの構築、データベースの整備など、定量的な研究を開始する上での基礎的な作業を行った。具体的には、シュンペーター型の経済成長モデルに、家計の起業に関する判断を織り込んだHFMを構築し、シミュレーションのためのプログラムを作成した。また、経済産業省「経済産業省企業活動基本調査」のミクロデータを統計法に基づいて入手し、HFMのパラメータ推計に用いている。2023年度以降は、解雇規制の緩和を含めた労働市場の規制緩和が、起業や経済成長に与える影響について、上記のHFMを用いた定量分析を継続して行うほか、労働市場の柔軟性に関する社会厚生分析について、新たにHFMを用いた研究を開始する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題における複数の研究について、第一に、直接投資に関する研究は、概ね定量分析を含めた分析作業は終了し、2022年度は国際学会発表を行い、幾つか有益なコメントを得ることができた。現在、得られた定量分析結果に基づきドラフトの作成を進めている。第二に、労働市場の柔軟性と起業、経済成長の関係に関する研究については、モデルの構築とミクロデータを用いたパラメータの推計を行った。現在、粗い定量分析結果を算出するところまで研究を進めることができており、一橋大学でのセミナー発表も行った。最後に、労働市場の柔軟性に関する社会厚生分析については、既存文献のサーベイを進め、粗いリサーチのアイデアを固めている段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
第一に、直接投資に関する研究は、2023年度も引き続き学会発表を行いつつドラフト作成を進め、2023年度中には学術誌に投稿することができるのではないかと考えている。第二に、労働市場の柔軟性と起業、経済成長の関係に関する研究については、2023年度は、定量分析結果について複数の国際学会で報告を行う予定である。その後、学会発表で得られたコメントに基づいて、モデルの変更、再推計、シミュレーション分析の修正・追加を行う予定である。研究課題の最終年度である2024年度には、引き続き学会での発表を行いつつ、ドラフトの作成と学術誌への投稿を行えればと考えている。最後に、労働市場の柔軟性に関する社会厚生分析については、2023年度には粗い分析結果を出せるところまで進め、最終年度の2024年度にかけて学会発表やドラフト作成を進めたい。
|