研究課題/領域番号 |
22K01512
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
|
研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
春日 教測 甲南大学, 経済学部, 教授 (50363461)
|
研究分担者 |
鳥居 昭夫 中央大学, 国際経営学部, 教授 (40164066)
宍倉 学 長崎大学, 経済学部, 教授 (40444872)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 地方新聞 / 報道バイアス / 同族経営 / 電子化 / 配信記事 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、日本の伝統的メディアである新聞記事について、日本固有の要因から生じる内容面以外の「バイアス」が存在する可能性を示すことである。(I) 地方紙の記事構成と利益率等の財務成果との相関関係はあるのか、(II) 地方紙のファミリー・ビジネス実態と電子化対応行動への影響はあるか、(III)地方紙のファミリー・ビジネスが地方紙報道に与える影響はあるか、等の分析を通じて、比較的公平と言われてきた日本の新聞にもバイアスが存在する可能性を示すことを課題としている。
|
研究実績の概要 |
研究初年度として、まず海外の先行研究を理論研究・実証研究に分けて整理した。理論編では、Prat and Stromberg(2011)の4区分に従い、「歪み」とも呼ばれる事実バイアス・フレーミングバイアス、「フィルタリング」とも呼ばれるイシューバイアス・イデオロギー代表バイアスごとに分類し、それぞれを基礎としてモデル化した論文について検討した。またバイアスを推進する力には、消費者がある特定の行動を取ることをメディアが好むため生じるものがあるが、このようなメディアの選好は政府や広告主など外部の第三者の圧力以外にも、メディア内部から生じるケースもあり、メディア所有者の直接的な好みが含まれる場合と記者や編集者の好みから間接的に生じる場合があることを指摘した。またメディアバイアスを惹起するもう一つの潜在的要因として消費者需要があり、消費者は自分の好みや信念と一致するバイアスを持っているメディアを選択する傾向があることも指摘した。この背後にある、なぜ消費者は確認型ニュースを求めるのかという問いに対して、委任(Delegation)、心理的効用(Psychological utility)、評判(Reputation)といった要因から説明されることを指摘した。これらは未公刊論文として手元にあり、今後論文中で指摘するか、独立の1本として刊行するか検討していくこととしている。 中心となる「地方紙の記事構成と利益率等の財務成果との関係分析」については、データ収集と暫定的なな計量分析を行った。一定の成果は出たものの、理論的裏付けについては検討中であり、今後研究発表を通じて精緻化を行っていく予定である。 なお前課題から派生的に生じた公共放送の研究については、首都圏と地方の比較を行う内容がメディア間の比較を行える点で本研究との関連が高く、並行して進展させていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
科研費の前課題で予定していた研究内容(実験)の一部がコロナ禍で実施できず課題変更し1年延長したため、同課題との重複研究に従事する必要があっため、若干の遅れを招いている側面がある。 ただし前研究は放送中心、本研究は新聞中心という点で対象は異なるものの「メディア」という点で共通しており、背景となる事業環境や情報伝達の中身において援用できる点が多く、相違点を浮き彫りにするだけでも有益であると考えている。本研究も2年目以降で遅れを十分取り戻せるものと考えているため、鋭意研究作業をすすめていきたいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
暫定的に推計した「地方紙の記事構成と利益率等の財務成果との関係分析」の論文を完成させ、今後研究発表を通じて精緻化を行っていく予定である。 特に、単純な売上高利潤率のとの関係分析以外に用意した、朝刊の発行部数や直近2年間の新聞発行部数減少率、地方市場でのシェアとの関係、制御変数として投票行動や支持政党等も加味した各変数の意味づけと解釈(理論化)については、モデルがスムーズに受け入れられるか不確定要素が大きい部分であり、地道に正当化できるよう工夫を重ねていく過程に時間を要することが予想されるため、インフォーマルな研究会の場を含めてなるべく多くの研究者の前で公開し討論を重ねていく予定にしている。
|