研究実績の概要 |
本年度は2つのプロジェクトを進めた. 一つ目は, 昨年度から行なっていた標準的な労働市場におけるサーチ・モデルの中に育児休業制度を組み込んだモデルの分析ならびに結果を論文にまとめるという作業であった. この研究成果を"Efficiency-enhancing role of mandatory leave policy in a search-theoretic model of the labor market"としてまとめ, 8月にオーストラリアのNew South Wales大学で開催されたEconometric Society Australasian Meetingで報告を行った. 同じく9月には日本経済学会において報告を行った. 両報告とも参加者から多くのコメント等をもらうことができ, 本研究のその後の改善に役に立っている. 二つ目は, dynamic contractの枠組みの中で最適な育児休業制度を特徴づけるという, 以前からの研究をさらに進展させた. この研究は"A model of optimal parental leave policies"としてまとめ, 学術誌へ投稿をした. その後, 改訂要求が来ており, その要求に応えるために本論文を改訂しているところである. これらの2つの研究は休業制度が社会に存在すべき経済学的な理由について正当性を与える研究結果となっているが, それぞれ異なる理由を挙げているという点が面白い点だと考えられる.
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