研究課題/領域番号 |
22K01519
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮崎 毅 九州大学, 経済学研究院, 教授 (40458485)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 規模の経済 / 市町村合併 / 範囲の経済 / 選好の異質性 / 地方財政 / 合併 |
研究開始時の研究の概要 |
既存の研究から、地方政府の支出に規模の経済があることを前提にして、地方政府の合併が促進されてきた。一方、地方政府の公共サービス供給に範囲の経済があるかどうかも研究されてきたが、規模の経済の研究に比べると研究の蓄積は少ない。本研究では、地方政府の支出における規模の経済と範囲の経済の存在およびそれらの関係性を、日本の市町村合併を利用して推計する。本研究は、地方政府の合併において規模の経済と範囲の経済を区別して推計する最初の研究である。また、これまで地方政府の支出における規模の経済と範囲の経済の相互作用に関する研究は行われておらず、本研究はこの課題に取り組む最初の研究でもある。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、規模の経済と範囲の経済に関する理論モデルの構築を行ったほか、地方政府の合併と選好の異質性に関する論文を雑誌に発表し、合併と範囲の経済に関する実証のためのデータベース作成も行った。 第1に、地方政府における規模の経済と範囲の経済を同時に分析するための理論モデルの構築を進めた。公共財に関して、人口規模の増加とともに生産コストが減少するという規模の経済と、より多様な公共財を供給することで生産コストが低下するという範囲の経済を同時に考慮した分析は、元ハーバード大学のAlesinaらによる国家の最適規模の研究で用いたモデルで考察されていることから、本研究でも同氏らのモデルを援用した。規模の経済だけでなく、範囲の経済が大きいほど合併によるメリットが大きいことが分かった。一方、公共財の性質や公共財に対する選好の異質性の程度、生産における調整コストの違いなど、より詳細な生産面や需要面での要因が規模の経済や範囲の経済に及ぼす影響について検討を行っている。 第2に、地方政府の合併に関する理論研究を国際査読雑誌に投稿し、掲載が決定した。地方財政における分権化定理によると、地域間の公共財選好における異質性が大きい時には、公共財供給は分権化された地方政府によって行われるのが望ましい。しかし、私の研究では、選好の異質性が大きくなったとき、集権化された政府によって公共財が供給された方が社会的厚生が大きくなるケースが存在することが示された。 第3に、範囲の経済の測定のために必要なデータ収集を進めた。合併と権能の変化に関する詳細なデータベースの作成を進めたほか、合併を伴わない権能の変化に関するデータの収集も進めた。また、分析に必要な財政、人口、経済、地理に関する変数の収集も引き続き行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データの収集、データベースの作成に時間を要しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
合併と規模の経済、範囲の経済に関する理論研究をさらに深化させて仮説を明示し、実証分析で検証する。研究成果を国際学会で報告し、査読付き雑誌へ投稿するために、ワークショップでの発表などを実施する予定である。
|