研究課題/領域番号 |
22K01524
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
長谷部 拓也 上智大学, 国際教養学部, 准教授 (60748896)
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研究分担者 |
三好 向洋 愛知学院大学, 経済学部, 講師 (10636244)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 景気循環 / 看護師 / 入学・卒業 / 転職 / 介護職 / 看護職 / 進学選択 / 職業選択 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、景気変動が看護・介護職への教育投資と職業の選択に与える影響について分析する。どのような教育機関に進学し、看護・介護に関連した分野を専攻するかの選択が景気の変動とどのような関係があるのか、それらの分野の学業を修めたものが卒業後の進路として実際に関連した職種を選ぶのかを明らかにする。また、初職としての職業選択ならびに看護・介護職の離職、入職との景気変動の関係も分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は景気の変動が看護職・介護職に従事する人材に与える影響を実証的に解き明かす事を目的としている。2023年度は、2つの異なる分析をおもに行っている。 第一の分析は、2022年度より継続して行っている、景気が看護師養成に与える影響を定量的に分析したのである。前年度に構築した「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」の集計データに、景気の指標とする失業率を接続した2006年から2021年までの都道府県パネルデータを用いて分析を行った。景気の悪化(失業率の上昇)は、3年課程への出願者数の上昇につながるが、4年制大学への出願者が減少する。ただし、入学者数は景気によって変動しないことが明らかになった。一方で、卒業状況を分析すると、失業率の高まりは、看護師として就職する卒業者数、特に4年制大学からの卒業者数、が統計的に有意に増えることが確認された。 第二の分析は、アメリカのデータを用いた実証分析である。この分析では、Current Population Surveyの2001年から2019年までの個人レベルのデータを用いて、看護師として従事している労働者が1ヶ月後(または1年後)に看護師として継続して働いているかの確率が、その時点での州レベルの失業率にどう影響を受けるか分析した。これまでに得られた結果は、失業率が高まると看護師として継続して働く確率は高まる一方で、その他の職業に転職する確率を押し下げていることが分かった。逆に考えれば、景気の上向き(失業率の低下)は、看護師から、別の職業への転職が引き起っていると言える。また、同様の分析を介護・医療助手相当の職業に従事している労働者で行うと、継続確率も転職確率も州レベルの失業率に反応しないことが確認された。 第一と第二の結果を踏まえると、景気変動が医療従事者のスキル構成に影響を及ぼしていることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の第一の分析に関しては、2023年7月に行われたInternational Health Economic Associationの研究大会で口頭報告しており、そこで得られたコメント等を基に分析の精緻化を行っている。第二の分析に関しては、2024年7月に行われるEuropean Health Economic Associationの研究大会での口頭報告に採択されており、そこで研究結果の報告を予定している。どちらの分析においても、より緻密な実証分析を行う目的のために、主に用いているデータに加えて、追加的にデータを接続する予定でおり、基本となる分析を進めると並行して、追加データの収集と整理を行っている。 また、本研究の申請段階では、文部科学省の「学校基本調査」を用いた分析を本研究の初年度より行う予定であった。ただし、上述の2つの分析に先に進めるように専念しており、こちらの分析は滞っている。よって、総合的な進捗状況の自己評価を「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は主に3つの分析を軸に研究を進めていく予定である。第一に、「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」を用いた分析は、上述の通り国際学会でフィードバックを基に研究の深化を進めており、追加の分析をまとめ次第に学術誌に投稿予定である。第二に、アメリカCPSを用いた分析は、上述の通り国際学会での報告を予定しており、報告までにより緻密な分析をすすめ、また報告後は得られたフィードバックを基に研究の深化を進める予定である。第三に、「学校基本調査」を用いた分析では、データ整理と計量モデルの構築を行う予定である。
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