研究課題/領域番号 |
22K01529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
上村 敏之 関西学院大学, 経済学部, 教授 (00328642)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 法人所得税 / 実効税率 / Forward-looking型 / 抜本的税制改革 / 資本所得税 / 税制改革 / 企業行動 |
研究開始時の研究の概要 |
どのような指標で法人所得税を評価すべきか、さらには、企業行動への中立性を改善するために、いかなる法人課税改革を行うべきかについて、経済理論にもとづく実効平均税率EATR(Effective Average Tax Rate)、実効限界税率EMTR(Effective Marginal Tax Rate)、B-index(研究開発支出額1単位あたりに適用される税額控除の割引現在価値の割合)といった指標を、データを用いて計測することで分析を行う。
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研究実績の概要 |
世間一般の感覚ならば、法人所得への課税に関して、税率の水準が関心の中心となりがちであるが、経済学的には、それは正しいとは言えない。その理由は、法定税率には課税ベースの情報が入っていないためである。この意味で言えば、財務省型実効税率も、法定税率の組み合わせであるから、経済学的には望ましい指標ではない。したがって、本研究が分析対象としている実効税率、とりわけ平均実効税率と限界実効税率が、重要な指標になる。上村(2024a)では、資金調達の中立性を確保する抜本的税制改革であるCBIT、ACE/ACCについて、株主の資本所得税の観点から法人実効税率を計測し、抜本的税制改革がもたらすForward-looking型実効税率への効果を計測した。また、上村(2024b)では、恒久的に損金算入が可能な事業税を想定し、通常のForward-looking型実効税率のモデルを拡張して、事業税の損金算入が法人実効税率に与える影響について計測した。これらの分析の背景にある考え方は、法定税率ではなく、実効税率によって税制改正を評価すべきという姿勢である。いずれも学会報告を行った研究であり、その後、学会の査読付き論文雑誌に掲載された。前者については、研究大会会長賞を受賞した。その他、上村(2023a)は法人所得税の存在理由について検討し、上村(2023b)は地方の法人所得税の将来について検討した。法人所得税は存在し続けるだけの理由はあるが、地方の法人所得税が今後も存在し続けることができるだけの理由が希薄になっていることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実効税率に関する分析のみならず、法人所得税の存在理由や地方の法人所得税の将来についても考察することができ、後半で法人所得税について研究を行うことができた。地方の法人所得税と株主への資本所得税に関する学会報告の成果はいずれも査読付き論文雑誌に掲載された。後者については研究大会会長賞を受賞した。そのため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、法人所得税の減免措置に焦点を合わせた研究を行う。そのために、広範囲なサーベイを行う必要がある。法人所得税には、数多くの租税特別措置が存在する。たとえば、研究開発税制や賃上げ促進税制が代表的かつ、規模が大きな制度である。研究開発税制については、B-indexのような分析手法が提示されており、本研究でもサーベイを行う必要がある。賃上げ促進税制は、国際的に珍しい制度であり、この仕組みを研究することは、大きな意義があると考えられる。
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