研究課題/領域番号 |
22K01535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
内藤 克幸 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (70634228)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 公共投資 / 公債発行 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの国々では公債発行を財源として公共投資が実施されている。公共投資や公債発行は経済成長や所得格差に対して影響を及ぼすとともに、異なる世代や所得階層に対して相反する効果をもたらす。また、近年OECD諸国では公債残高/GDP比率が上昇傾向にあり、財政の持続可能性を高めるための財政ルールが導入されている。本研究は公共投資や公債発行などの経済政策が政治過程を通じて決定される理論モデルを構築し、政治的に決定される経済政策はどのような性質を持つのか、経済はどのように成長し所得格差はどのように推移していくのか、財政ルールの導入は経済成長や個人の厚生に対してどのように影響を及ぼすのかという問題を解明する。
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研究実績の概要 |
公共投資を巡る世代間の利害対立に焦点を当てるため、単純なケースとして、世代内で同質的な個人から成る簡単な世代重複型経済成長モデルを構築し、政治経済均衡での経済政策の特徴及び経済成長パターンの性質を分析した。近日中に得られた成果をまとめた学術論文を国際学術雑誌に投稿する予定である。 本研究で構築した理論モデルの概要は以下のとおりである。本研究では政府が所得課税と公債発行を財源として公共財供給と公共投資を実施し、経済政策の規模(資本所得税率、労働所得税率、公共財供給量、公共投資量、公債発行量)が毎期の確率的投票を通じて決定される状況を分析する。まず、ベンチマークとして財政ルールが存在しないケースでの政治経済均衡を導出し、その後公債発行量に上限が設定されるケースでの政治経済均衡を導出する。本政治経済均衡としてはMarkov完全政治経済均衡に着目する。Markov完全政治経済均衡では政策規模が状態変数(私的物的資本水準、公共資本水準、公債残高水準)の関数として表され、個人は現在の経済政策が将来の状態変数への影響を通じて将来の経済政策に対してどのような影響を及ぼすかを考慮に入れて投票を行う。 本研究で得られた結果は以下のとおりである。まず、経済政策の規模が状態変数の簡単な関数形として表されるMarkov完全政治経済均衡が存在することが示される。また、政治経済均衡上での経済政策の規模や経済成長率に関する比較静学を行い、人口成長率の上昇等が経済政策や経済成長パターンに及ぼす影響を詳細に分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたように、財政ルールが存在しない状況及び公債発行水準に上限が設けられる状況を想定した理論モデルを構築したことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、今後は様々な財政ルールの下での政治経済均衡の性質を分析し、また世代内での異質性等を導入することによってモデルを拡張していく。
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