研究課題/領域番号 |
22K01542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
広田 啓朗 武蔵大学, 経済学部, 教授 (10553141)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 財政ルール / 財務状況把握 / Difference in Difference / Instrumental variable / 自治体運営手法 / 自治体クラウド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は,持続可能な地方財政向けて,「財政ルールの効果」と「自治体運営手法の効果」 の視点から,市町村の財政面に与える影響を疑似実験手法により明らかにすることである. 第1 に,財政破綻後の「中央政府の管理下で再建」と「自主再建」の違いに着目して検証する. 第2 に,新財政ルールの下で,監視対象でない指標に着目して財政ルール回避の検証を行う.第 3 に,自治体クラウドシステムの有無や,広域連携か単独実施かの違いに着目して検証する.第 4 に,市町村合併と広域連携が,財政面に与える影響を統一的視点から比較して検証する.
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研究実績の概要 |
本研究では,地方財政健全化法の施行が,市町村の財務状況に与えた影響について,定量的に分析をおこなった.2008年4月に施行された地方財政健全化法は,様々な面で市町村の財政運営に影響を与えている.地方財政健全化法が財務指標に与える影響を分析するため,地方財政健全化法施行前に財政状況が悪化していた市町村が,健全化法施行後にどのような財政行動をとったのかに着目した.地方財政健全化法施行と財務指標における因果効果を明らかにするため,地方財政健全化法施行前に財政状況が悪化していた市町村を介入群,それ以外の市町村を対照群としたDifference in Differencesを用いた分析をおこなった.市町村の財政健全化の視点から見ると,監視対象である健全化指標は改善しているが,資金繰りや債務償還能力の視点から見ると,監視対象ではない行政経常収支率や基礎的財政収支は悪化している.この結果は,歳出面の増加を上回る歳入面の増加によりもたらされており,地方交付税や臨時財政対策債の増加の影響が大きい.市町村は,現在の債務償還努力に取り組みつつも将来の様々な危機に備えた積み立て行動を優先していると考えられる. また,発生主義的な財務諸表の導入が,市町村の歳出に与える影響をDID-IVやEvent Study-IVを用いて検証した.分析より,財務諸表の導入は,歳出総額には影響を与えないが,予算の組み換えという視点から,扶助費が減少傾向にあることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
22年度は,3本の英語論文が査読付き国際学術雑誌への掲載が決まり,1本の日本語論文が依頼論文として掲載された(European Journal of Political Economy, The Annals of Regional Science, Economic Analysis and Policy, フィナンシャルレビュー).また,2本の英語論文を査読付き国際学術雑誌へ投稿中である.また,今後の研究のために,日本の市町村を対象とした決算統計データや,経済データを構築中である.
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今後の研究の推進方策 |
23年度は,財政ルールが財政赤字に与える影響の研究の一つである,旧財政再建法下における市町村の財政運営の取り組みについて,継続して研究をおこなう.次に,分権化における政策競争の分析として,空間的相互作用を考慮した地方政府の政策効果を検証するために,都道府県・市町村レベルのデータより,Spatial Difference in Differencesを用いた分析に取り組む.また,これまで蓄積してきた市町村レベルの決算統計データと,地価や不動産価格などの地域経済データ,アンケートによって取得した家計データとのデータ接合を試みる.これらの作業は,研究を拡張するために必要なものとなる.また,今年度に取得した家計アンケートデータと市町村の決算統計などのデータを接合して,市町村の防災政策と家計行動に着目した分析に取り組む予定である.
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