研究課題/領域番号 |
22K01553
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
芦谷 政浩 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (10304057)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 穴馬バイアス / longshot bias / tail event |
研究開始時の研究の概要 |
賭博市場によってバイアスの方向が正反対になる理由を、 (1)賭博の対象は同じだが、売上額の規模が15倍から150倍異なり、顧客の属性も異なる2つの市場、具体的には日本の中央競馬(JRA)と地方競馬(NAR)を比較する (2)賭博の対象は異なるが、売上額の規模や顧客の属性は似通っている市場、具体的には日本の地方競馬(NAR)・競輪・競艇・オートを比較する という2つのアプローチで明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題の主要目的は、競輪市場のオッズを収集し、穴馬バイアスと逆穴馬バイアスのどちらが成立しているのか、そしてそれらのバイアスはレースのグレード(=車券の売上金額)に依存しているのかを分析することである。穴馬バイアスとは、穴馬(=的中確率が低く払戻倍率の高い賭け)に対する過剰な選好と、本命馬(=的中確率が高く払戻倍率の低い賭け)に対する極端な忌避である。この現象は世界各地の競馬場で観察されているだけでなく、金融(個人投資家の穴株や新規公開株、バイオ株への過剰な選好)、保険(家電量販店が提供する割高な延長保証への加入や、格安航空会社が提供する割高な旅行中止保険への加入)、賭博(スロットマシンや宝くじへの選好)など、実社会の至る所で観察されている。しかし、一部の市場では穴馬バイアスと正反対のバイアス(逆穴馬バイアス)が継続して観察されることもあるので、市場ごとに精緻な分析を行う必要がある。 本年度は、前年度に収集した約11,000レースの競輪オッズデータを、分析可能なファイル形式に変換する作業を行った。その過程で、「レース毎の車券売上額は、最大で62億円、最小で400万円と極端に差がある」「出走時刻の遅いレースほどレースの格式は高くなるが、早朝(朝8時30分)から開催されるレースでは格式の高いレースの売上額が最大になるとは限らず、朝一番のレースが最大の売上額となることもある」などの事実が判明した。これは競輪賭博市場参加者の属性に関する重要な情報を含む観察結果であり、次年度以降に行う予定の回帰分析における分析手法に再考を促す情報である。 本研究では、競馬市場の分析も並行して行っている。分析結果の中間報告として、本年度は芦谷政浩(2023)「金沢競馬・名古屋競馬・盛岡競馬・水沢競馬における裁定取引の実行可能性」国民経済雑誌第227巻第5号pp.55-62を公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
競輪市場の分析と並行して行っている競馬市場の分析において、分析結果の中間報告として芦谷政浩(2023)「金沢競馬・名古屋競馬・盛岡競馬・水沢競馬における裁定取引の実行可能性」国民経済雑誌第227巻第5号pp.55-62を公刊することができた。 競輪市場の分析においても、前年度に収集した約11,000レースの競輪オッズデータを、3連単・3連複・2車単・2車複・2枠単・2枠複の種類ごとに、売上金額・レース番号・レースのグレード・発走時刻・発走曜日と関連付けて1つのデータシートにまとめあげることができた。次年度以降は、このデータシートを計量ソフトに読み込ませることができるようにクリーニングして、可能であれば回帰分析を行うところまで研究を進展させたい。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、競輪市場の分析については、前年度に収集した約11,000レースの競輪オッズデータを、3連単・3連複・2車単・2車複・2枠単・2枠複の種類ごとに、売上金額・レース番号・レースのグレード・発走時刻・発走曜日と関連付けて1つのデータシートにまとめあげることができた。次年度の課題は、このデータシートを計量ソフトに読み込ませることができるようにクリーニングして、可能であれば回帰分析を行うことである。 また、並行して行っている競馬市場の分析においても、昨年度に引き続いて中間報告となる論文を公刊することを目指す。
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