研究課題/領域番号 |
22K01559
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 札幌学院大学 |
研究代表者 |
井上 仁 札幌学院大学, 経済経営学部, 准教授 (10545057)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | マイナス金利政策 / 銀行貸出 / 銀行収益 / 金融政策 / 収益性 |
研究開始時の研究の概要 |
日本銀行は2016年1月29日に「マイナス金利付き量的・質的緩和」の導入を決定し,同年2月から実施している。また,同年9月から「長短金利操作付き量的・質的緩和」を実施している。本研究ではこれら一連の金融政策をマイナス金利政策と呼ぶ。本研究では,マイナス金利政策が日本の銀行部門に与えるポジティブな影響とネガティブな影響,さらにそれらの相互関係について実証的に検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,マイナス金利政策が日本の銀行部門に与える作用と副作用,さらにそれらの相互作用について実証的に検証することである。具体的には,銀行貸出に与えるポジティブな影響と銀行収益に与えるネガティブな影響に着目する。さらに,貸出から収益,収益から貸出への相互作用も考慮する。 初年度である令和4年度においては,どのような特徴を持った銀行がマイナス金利政策の影響をより強く受けて貸出を変化させたのか実証的に検証した。その結果,資金調達において預金に大きく依存している銀行はそうでない銀行に比べて,マイナス金利政策に対してポジティブに反応して貸出を変化させていた。この結果は,欧州の先行研究の結果と正反対の結果であり,日本におけるマイナス金利政策の影響を検証するうえで,重要な意義を持つ結果である。 理論的には,資金調達において預金に大きく依存している場合,預金金利はゼロ以下には下げられないため,資金調達費用の下限の影響を強く受ける。さらに,欧州と日本では預金金利の水準が異なる。日本の預金金利水準はほぼゼロで下限に達しているのに対して,欧州では低い水準ではあるものの下限にまでは達していない,すなわち,まだ下げ余地がある状況である。また,日本の銀行のほうが資金調達における預金の依存度が平均的に高い。これらのことから,欧州の銀行より日本の銀行のほうが資金調達費用の下限の影響を強く受けることが理論的に示唆されるが,実証的には正反対の結果であった。したがって,今後は欧州の先行研究も参考にしながら,日本の銀行の特徴を考慮した分析が必要になろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方向性として2点挙げられる。まず,欧州の先行研究と正反対の実証結果が検出された原因を特定することである。欧州と日本では,預金金利水準や,資金調達における預金の依存率が異なる。どのような要因によって正反対の実証結果が出たのか探ることが1点目の方向性である。 次に,銀行収益との相互関係が考えられる。預金金利はゼロ以下には下げられず,資金調達費用の下限に直面した銀行は,その収益にネガティブな影響を受けるはずである。では,収益性が低下した銀行は次に貸出をどちらの方向に変化させるのか。この点を探るのが2点目の方向性となる。
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