研究課題/領域番号 |
22K01572
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
青木 康晴 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (50553137)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | ペイアウト / 配当平準化 / 社債スプレッド / 負債コスト / 大株主 / 銀行 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本企業のデータを用いて、配当平準化に関する2つの実証分析を行う。1つは、配当平準化が企業の負債コスト(普通社債のスプレッド)に与える影響の分析であり、もう1つは、企業に資金を提供する大口投資家(大株主や銀行)が配当平準化に与える影響の分析である。先行研究によれば、経営者は、減配や増配といった配当の変更に対して消極的である。また、企業の配当政策は、経営者、株主、債権者の利害に影響を与える。ステークホルダー間の利害対立と配当平準化の関係を多面的に明らかにすることができれば、コーポレートファイナンス研究に対する大きな貢献となることが期待される。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、配当平準化が企業の負債コスト(普通社債のスプレッド)に与える影響、および企業に資金を提供する大口投資家(大株主や銀行)が配当平準化に与える影響、の2つを明らかにすることである。2022年度は、研究実施計画に従って前者に関する論文(The effect of dividend smoothing on bond spreads: Evidence from Japan)を執筆し、International Review of Economics and Finance に投稿した。本論文は査読プロセスを経て2023年2月にアクセプトされ、同年5月に掲載された。その概要は以下の通りである。 本論文は、日本で発行された普通社債のデータを用いて、配当平準化が社債スプレッドに与える影響を分析している。その結果、2つの点が明らかになった。1つは、配当平準化が社債スプレッドに影響を与えないことである。もう1つは、継続的に配当を実施し、かつ財務レバレッジが高い企業の発行する社債に関しては、配当平準化が目標配当性向と社債スプレッドの関係に影響を与えることである。具体的には、配当平準化の水準が低い場合、目標配当性向は社債スプレッドを上昇させる。しかし、配当平準化の水準が高い場合、目標配当性向は社債スプレッドに影響を与えない。以上から「配当平準化単独では企業の負債コストに影響を与えないが、配当をめぐって株主と債権者の利害対立が深刻な場合には、配当平準化と目標配当性向が結合して負債コストに影響を与える」という結論が得られる。本論文の分析結果とそこから得られる示唆は、債権者の観点から配当平準化の経済的帰結を理解するうえで重要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、2022年度に配当平準化が社債スプレッドに与える影響に関する論文を執筆・投稿し、2023年度に海外の査読付ジャーナルにアクセプトされる計画であった。しかし、2022年度内に同論文がアクセプトされたため、本研究課題は当初の計画以上に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、大口投資家が配当平準化に与える影響を分析するためのデータベースの構築と、企業=銀行間関係の強さの決定要因に関する論文の修正を行う。当初の計画に後者の論文は含まれていないが、本研究課題と密接に関連することから、大口投資家が配当平準化に与える影響の分析よりも先行して研究を進めている。具体的には、2022年度に Determinants of the intensity of bank-firm relationships: Evidence from Japan というタイトルの論文を執筆し、Review of Corporate Finance Studies に投稿した。その査読結果が2023年5月に送られてきたため、2023年度は査読コメントを踏まえて論文を修正し、年度内にアクセプトされることを目指す。
|