研究課題/領域番号 |
22K01580
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
荒木 宏子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 訪問研究員 (30635131)
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研究分担者 |
山根 承子 大阪大学, 大学院経済学研究科, 招へい研究員 (40633798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | リスク選好 / 金融意思決定 / 金融教育 / 金融リテラシー / 有限混合モデル |
研究開始時の研究の概要 |
少子高齢化に伴い、個人は自身の責任と判断による主体的な資産形成を求められる時代になった。金融商品選択はリスク下の意思決定である。経済学ではリスク選択に係る理論モデルの開発、実験データによる推計が盛んに行われてきた。その結果、個人のリスクテイク行動に異質性があることが認知されている。しかし、個人の投資や貯蓄などの規定要因分析において、金融行動モデルの異質性に配慮した推計は数少ない。本研究は、金銭くじ実験とアンケート調査による独自データの構築、個人の行動モデルの異質性に配慮した推計手法を用い、日本人のリスク選好の実態(リスク選好の特徴と異質性、異質な選好の形成要因、金融行動との関係)を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、被験者に対し、リスク選好を計測する金銭くじ実験と、個人属性などを尋ねるアンケート調査の双方を実施することで、日本人のリスク選択行動に係る4つの仮説-1.リスク選好の特徴、2.選好の異質性の有無と分布、3.選好の特徴・異質性を規定する個人属性、4.観測された選好と現実の金融行動との関係-を検証し、家計資産効率化に与する政策立案や金融商品の開発・提供に役立つ傍証を示すことを目的とする。 個人のリスク選好関数を推計した既存の実証研究結果によって、個人間のリスク選好には異質性があることが広く認知されているが、その一方で、個人の投資や貯蓄行動の規定要因分析において、金融行動モデルの異質性に配慮した推計はいまだ数少ない。異質性のある母集団に単一の行動モデルを当てはめた推計結果には偏りが生じ、誤った政策提言の誘因にもなる。本研究では、実験・調査による独自データの構築と、個人間のリスク選択モデルの異質性に配慮した推計手法を用いて、日本人のリスクテイクタイプの実態の解析を目指す。 申請時における2023年度までの研究計画は、①既存研究知見の体系的な整理、②実験と調査(予備実験・調査を含む)の実施によるデータ収集と、③上記仮説「1」「2」の分析を順次遂行する予定であったが、②調査の実施に遅れが生じている。 ①については、申請時にサーベイができていなかった関連分野の研究や情報(金融リテラシー、教育効果などの実証研究及び論説、AIによる投資意思決定に係るリスク選好についての考察等)を収集し、さらなる知見の獲得に努めた。 ②については、予算内でオンライン実験を実現するために、調査会社等と協力の上、実験プログラムの構築、調整作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
【研究実績の概要】に示す通り、本調査・実験の実施が申請時予定より遅れている。主に、次のような理由により、実験モジュールの調整に時間を要したためである。 まず、とりわけ初年度はコロナ感染症への対応が必要であったこともあり、オンラインでの調査実施を目指し調整に取り組んだ。しかし、予算と技術の制約上、本研究のメインの実験(くじ選択)画面等をプログラム構築し、十分なサンプルサイズの被験者に対する実施が可能な調査業者を見つけることが困難であった。 さらに、本実験では、被験者は同一の調査・実験に参加するにも拘らず、回答内容によって報酬が異なる。同一の業務内容に異なる報酬を支払うという報酬体系での実施が、謝金の支払業務上、困難である組織もあった。 ただし、既知の調査会社と相談を重ねた結果、調査内容の精査や実験プログラムの構築を協力する形で、2024年度に実験調査を実施する目途が立ち、実際に準備段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、できるだけ速やかに、未完了の実験調査の遂行、データ収集と整備の完了、分析への着手を順次進めていく。 実験調査については、現在、調査会社等と準備・調整を進めており、2024年度前半までを目安に、実験調査の実施及びデータ収集を完了させる予定である。2024年度後半は、これまでに収集した情報や知見を活用して、主たる仮説分析に着手し、順次論文等に成果をまとめ、成果発表の準備を行う予定である。 また、2023年度において、実験実施が遅れている間に関連分野の研究や技術についての情報収集を進めたが、その一部も研究に昇華できるものと考えている。具体的には、AI(大規模言語モデル)が金銭投資に係る意思決定を行う際に、人間のようなリスク選好を持つのか否かといった検証研究である。
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