研究課題/領域番号 |
22K01581
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
池田 直史 日本大学, 法学部, 准教授 (90725243)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 異質的期待 / 新規株式公開 / 資産価格 / 空売り制約 / 期待形成 / 資産価格形成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、金融資産価格に関する投資家の期待(予想)の分布を直接的に推定する。そして、推定した投資家の期待の指標が、どのような要因によって影響を受けるのかを分析する。さらに、これらの指標が金融市場での価格形成に与える影響を分析する。これらの分析によって、投資家の期待形成が誘導される可能性や、投資家の異質的期待を前提とする理論の現実妥当性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、投資家の期待がどのように形成されるのか、そして、形成された期待が金融市場にどのような影響を与えるのかを明らかにすることである。本年度は、空売り制約の下で投資家の異質的期待が資産価格に与える影響を分析した論文がジャーナルに掲載された。この論文では、新規株式公開(IPO)に着目して、投資家の異質的期待と空売り制約を仮定する理論の検証を行った。検証の結果、IPO直後の株価の過大評価に対しては、投資家の楽観度の平均的水準と期待のばらつきの両方が説明力を持つものの、IPO後の株式収益率に対しては、楽観度の平均的水準のみが説明力を持つことが明らかになった。 また、異質的期待が資産価格に与える影響を理論的に分析した論文の改訂を行い、その内容を学会やセミナーで報告した。この論文では、投資家の予想がばらつく(異質的期待の)状況の下で、リスク回避的かつ曖昧性回避的な投資家を仮定する理論モデルを展開している。そして、均衡において、リスクを負担することだけでなく、投資家の予想のばらつきからくる曖昧性を負担することに対しても追加的なプレミアムが支払われるために、投資家の予想のばらつきが大きい資産ほど期待収益率が高くなることを示している。本年度に行った改訂では、展開した理論モデルから導ける実証的なインプリケーションの追加を行った。また、モデルの特徴を明確にするために、投資家の期待のばらつきがない状況との比較を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、(1)投資家の期待がどのように形成されるのか、そして、(2)形成された期待が金融市場にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的としている。本年度は、(2)に関して、異質的期待が資産価格に与える影響を理論的に分析した論文がおおむね投稿可能な段階に達したものの、(1)については、あまり進展しなかった。そのため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、(1)投資家の期待がどのように形成されるのか、そして、(2)形成された期待が金融市場にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的としている。次年度は、(1)に関しては、新規株式公開に着目し、新たなデータの取得やその整理を行い、投資家の期待分布を推定するためのデータベースを構築する。そして、そのデータベースを使って推定した投資家の期待の指標(投資家の期待分布の平均値や標準偏差など)が、どのような要因によって影響を受けるのかを分析する。最終的には、その結果を論文にまとめ、国際査読ジャーナルへの掲載を目指す。(2)に関しては、異質的期待が資産価格に与える影響を理論的に分析した論文を、学会やセミナーで得たコメントに基づいて改訂し、国際査読ジャーナルに投稿する。
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