研究課題/領域番号 |
22K01587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
大倉 真人 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (50346904)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 保険 / 後悔理論 / 経済分析 / 後悔 / 安堵 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、保険購入・未購入の意思決定によって生じる感情である「後悔」「安堵」に着目した上で、非期待効用理論の1つである後悔理論に基づいた経済モデル分析を行う。そして「後悔」「安堵」の感情を加味した経済モデル分析の手法を援用することで、保険の社会的有用性を向上させる保険市場のあり方について考察するとともに、「後悔」「安堵」と保険会社の経営戦略および社会保障制度との関連性についての検討を行っていく。
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研究実績の概要 |
研究初年度にあたる今年度における研究実績は、「後悔」の概念を用いた経済分析を展開することで地震保険加入にかかる研究を進めたことである。今年度において展開した研究の概要について述べれば、以下のとおりである。 日本における自然災害リスクマネジメントを考える際に無視できないものとして地震があげられ、また地震による家屋等の損害に対する対応手段として地震保険が存在する。しかしながら、家計における地震保険加入率は低調であり、それゆえに、地震保険加入率のさらなる引き上げを促す必要のある状況にある。この状況が地震保険に対する魅力の不十分性によって生じていると解釈したとき、その要因となりうる可能性のあることとして、地震保険制度における上限付保率の存在があげられる。 現行の地震保険制度においては、火災保険金額の30パーセントから50パーセントと5,000万円のいずれか小さい方の額を地震保険金額の上限としている。ゆえに、地震保険は常に一部保険とならざるを得ず、十分な補償を得るリスクマネジメント手法になっていない可能性がある。しかしながら他方において、上限の引き上げは地震保険料の高騰に直結する。そして地震保険料の高騰は、その高騰自体によるマイナスのみならず、地震が生じなかった場合における家計の後悔の程度を高めるというマイナスにもつながる。このように考えた場合、上限付保率の存在あるいは引き上げが地震保険加入率引き上げに有効か否かについては明らかではないことが分かる。 以上の背景を基礎に、後悔理論を用いた経済分析を展開した。なお、上限付保率についての先行研究は散見されるものの、経済モデルを用いた研究は皆無であり、この点から本研究には少なくない独自性があると評価することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べた水準まで地震保険にかかる後悔理論を用いた経済分析を進めることができ、かつ当該モデル分析から一定の結論が得られていることから、「おおむね順調に進展」と評価している。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で述べた地震保険にかかる研究の刊行を行う。また、本研究課題に密接に関連すると考えられる「不確実性・情報の非対称性」を「後悔」と結びつけて検討すべく、不確実性・情報の非対称性が存在する市場において複数の主体が意思決定する状況を分析対象とした後悔理論を用いた経済分析を進めていくことを計画している。
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