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自社株買いの動機とその経済的帰結に関する包括的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K01588
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07060:金融およびファイナンス関連
研究機関関西大学

研究代表者

太田 浩司  関西大学, 商学部, 教授 (70366839)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード自社株買い / シグナル強度調整仮説 / 情報内容 / シグナリング / 利害相反
研究開始時の研究の概要

日本における自社株買いの研究は数多く存在しているが、その殆どは、米国における先行研究に依拠したものであり、日本独自の自社株買い制度を取り扱った研究は未だ少ない。そこで、本研究では、わが国特有の開示制度や買付制度を利用することによって、(i)自社株買いの終了が市場に与える影響の調査、(ii)自社株買いの公表が、決算等に関するBad Newsの影響を緩和する役割を果たしているかについての調査、(iii)自社株買いにおけるToSTNeT取引が、企業内部者が自ら保有する株式を有利に売却するために利用されているかについての調査の3点について検証を行いたい。

研究実績の概要

わが国における自社株買いをテーマとする研究は多く存在しているが、そのほとんどは、米国における先行研究に依拠したものとなっており、わが国独自の自社株買い制度を取り扱った研究は数が少ない。そこで、本申請研究では、日本特有の開示制度や買付制度を利用することによって、自社株買いの新たな側面を解明することを目的としている。
具体的には、Open Market Repurchaseの発表に関するシグナリングの強度調整行動を調査することにより、既存のシグナリング仮説の拡張を試みている。Open Market Repurchaseが自社株を買戻す企業にとって拘束力のないコミットメントであることを考えると、株式市場は、企業のOpen Market Repurchaseの発表から生じる過小評価シグナルの信憑性を疑う可能性がある。そこで企業の経営者は、Open Market Repurchaseの公表に関する過小評価シグナルを強化するためのさまざまなメカニズムを駆使するであろうことが予期される。本研究では、Bad NewsがOpen Market Repurchaseと同時に公表され、Open Market Repurchaseからのシグナルの信頼性が脅かされた場合に、自社株買い企業の経営者がOpen Market Repurchaseプログラムの内容を変更するかどうかに関しての調査を行っている。
本研究の結果からは、シグナル強度調整仮説と一致して、自社株買い企業の経営者は、同時公表されるBad Newsの大きさに応じて、自社株買いの規模(期間)を増加 (短縮) するということがわかった。またこの研究からは、株式市場がシグナル強度の調整に対して正に反応することを示す結果が得られており、シグナル強度調整情報が市場にとって有益であるということが示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は研究進捗に際して特に大きな問題が生じなかったため、予定していた「Open Market Repurchaseの発表に関するシグナリングの強度調整行動」に関する研究をさらに発展させることができた。従って、本研究課題の現在までの進捗状況はおおむね順調であるといえる。

今後の研究の推進方策

2024年度は、2023年度からの研究テーマを引き継いで、自社株買いの終了が市場に与える影響について、「株式需給の観点から自社株買い公表後の株価ドリフトの説明」を試みる予定である。自社株買いプログラムの公表が市場に与える影響は日米で調査されており、正の異常リターンが観測されるという証拠が日米で提示されているが、短期のドリフトが観察されるのは日本だけであり、米国では短期のドリフトは観察されない。しかしながら、自社株買いプログラムの買付期間は日米で大きく異なっている。例えば、米国では、買付期間は予め定められておらず、平均して3~4年で終了し、終了のアナウンスメントは行われない。一方、日本では、買付期間は会社法で1年以内でなければならないと定められており、平均して3~4ヵ月で終了し、終了のアナウンスメントも東証の適時開示規則で義務付けられている。
自社株買い公表後の長期リターンを調査するChan et al. (2007)等の米国の研究からは、長期リターンと実際の買付量との間に正の相関があるという結果が報告されている。このことは、企業が自社株を取得することから生じる株式需給の逼迫が、長期リターンの源泉となっていることを示唆するものである。しかしながら、米国では、買付期間が長期にわたり、自社株買い終了の正式な公表もないので、実際の買付期間の測定は推定で行われている。一方、日本では、もともと買付期間が短く買付終了の公表も適時になされるので、買付期間を日次単位で正確に測定でき、さらに買付終了に対する市場の反応を短期で検証することも可能である。
そこで2024年度の研究では、実際の買付量が買付期間におけるリターンに与える影響を調査するとともに、自社株買い終了の公表が市場に与えるインパクトを短期で検証することによって、株式需給が自社株買い公表後のドリフトの要因となっているかについて調査する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] The University of Auckland(ニュージーランド)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Signal strength adjustment behavior: Evidence from share repurchases2022

    • 著者名/発表者名
      Ota Koji、Lau David、Kawase Hironori
    • 雑誌名

      Journal of Banking & Finance

      巻: 143 ページ: 106545-106545

    • DOI

      10.1016/j.jbankfin.2022.106545

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The need for speed: an intuitive approach to understanding the relationship between audit quality and management earnings forecasts2022

    • 著者名/発表者名
      Lau David、Ota Koji、Wong Norman
    • 雑誌名

      Meditari Accountancy Research

      巻: 30 号: 7 ページ: 185-212

    • DOI

      10.1108/medar-11-2020-1071

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 無形資産調整済み簿価時価比率(iB/M)の有用性2022

    • 著者名/発表者名
      太田浩司
    • 雑誌名

      企業会計

      巻: 74 ページ: 29-37

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 無形資産調整済み簿価時価比率(iB/M)の有用性について2022

    • 著者名/発表者名
      太田浩司
    • 学会等名
      日本経済会計学会第39回年次大会,大阪大学
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 新・現代の財務管理2023

    • 著者名/発表者名
      榊原 茂樹、新井 富雄、太田 浩司、山﨑 尚志、山田 和郎、月岡 靖智
    • 総ページ数
      380
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      4641222134
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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