研究課題/領域番号 |
22K01590
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 公益財団法人アジア成長研究所 |
研究代表者 |
高木 信二 公益財団法人アジア成長研究所, 研究部, 客員教授(特別教授) (20226749)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 戦前期日本の外国為替制度 / 戦前期日本の外国為替政策 / 為替制度の実証分析 / 日本の金銀本位制下でのゲームのルール / 戦時中円ブロックにおける為替政策 / 戦前日本の外国為替政策・制度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国際マクロ経済学の枠組みで、戦前日本の外国為替政策・制度を再考察する。国際マクロ経済学における歴史研究の位置づけは、国の体制に関わる問題を取り扱う性格上、絶対的に少ない標本数を補うことである。歴史研究の目的は、必ずしも過去を学ぶこと自体にあるのではなく、過去の経験から、国際マクロ経済学の究極のテーマである「最適な為替政策・制度とは何か」という問いに答えるためのエビデンスを求めることにある。明治期から戦時期まで、我が国は様々な政策・制度を試みた。これらを包括的、かつ可能な限り計量的に分析することにより、国際マクロ経済学の文献に貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、過去 40 年間大きな発展を見た国際マクロ経済学の枠組みで、戦前日本の外国為替制度・政策を再考察することである。それは、我が国において独立的に発展してきた歴史研究と実証マクロ研究を統合させる試みであると同時に、可能な限り、計量的手法、データに導かれた接近法により、明治期から太平洋戦争終結までの外国為替制度・政策の定量的、比較的、包括的分析をおこなうことでもある。本研究者は、科研費の補助を受け、この2年間、500点以上の文献(戦前期の日本語文献、近年の英語文献を含む)に加え、取得可能なほぼすべてのマクロ経済データをそろえることができた。これまで400点ほどの文献を読み、2年目である昨年度の後半からは、データを使った実証分析も開始することができた。具体的には、戦間期、日中戦争期、金本位制期の3時期の為替制度・政策に関する計量経済学的(回帰)分析を始め、予備的な論文を執筆した。これらのうち、金本位制下の金融政策に関する論文はほぼ完成し、「An Exception that Proves the Rule: Japanese Monetary Policy under the Classical Gold Standard,1897-1914」というタイトルで、研究者の所属する機関のホームページにWorking Paperとして掲載することができた(https://www.agi.or.jp/publications/workingpaper/2024/WP2024-11.html)。近い将来、査読付き雑誌に投稿する計画である。他2本の論文は最終年度に完成させる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.我が国では、戦前の為替政策・制度に関して、経済史研究者による膨大な研究の蓄積がある。この研究を始めて驚いたのは、大昔の政策・制度であるのにもかかわらず、文献が今なお増え続けていることである。この2年間、500点以上の文献(戦前期の日本語文献、近年の英語文献を含む)をそろえ、このうち約400点の文献を読み、内容を整理した。 2.この研究を始めて改めて認識したのは、膨大な文献にもかかわらず、データに基づいた研究がほぼ皆無であることである。経済史研究者は数字を表にまとめることがほとんどで、図(チャート)にすることは稀であり、ましてや、計量経済学的手法を使った研究は皆無であるといってよい。可能な限り、計量的手法、データに導かれた接近法により、明治期から太平洋戦争終結までの外国為替政策・制度の定量的分析を行うという本研究の価値を再確認することができた。入手可能なマクロ経済データをほぼすべてそろえた上で、2年目である昨年度の後半からは、3時期(戦間期、日中戦争期、金本位制期)の為替制度に関して、計量経済学的分析を始めることができた。 3.これら3期に関する草稿を執筆し始め、そのうち金本位制期にかかわる論文をほぼ完成させ、Working Paperとして所属機関のホームページに掲載することができた。 4.最終的には4本の論文を完成させる計画であるから、以上、ここまで全研究の4分の3弱を完成させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で述べたように、2年目である昨年度、3本の論文を完成させるべく実証分析、論文執筆を開始した。このうち、金本位制に関する論文はほぼ完成し、所属する機関のホームページにWorking Paperとして掲載された。本年度は、この論文を査読雑誌に投稿する計画である。他2本の論文は、戦間期および日中戦争期に関するものであるが、これらのうち戦間期に関する論文は、秋までに実証分析を終わらせ、論文を執筆し、年末までに所属機関のホームページにWorking Paperとして掲載できるようにしたい。日中戦争期に関する論文は、戦争中の為替制度であるため、データに欠損値が多くあり、アーカイブなどでさらなる調査が必要である。最後に、本年度が終わるまでに、まだ読み終わっていない約100点の文献を整理した上で、銀本位制にかかわる実証分析も始め、最終的には、助成期間内に、明治、大正、昭和期にわたる戦前期日本の為替制度・政策を計量的に分析する論文を計4本完成させたい。
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