研究課題/領域番号 |
22K01597
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
塩谷 昌史 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70312684)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ロシア / 国勢調査 / アストラハン / カザン / 中央統計委員会 / ホレリス / 内務省 / 財務省 / 近代統計制度 / 国際統計会議 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の問いは、「第1回ロシア国勢調査(1897年実施)は、どのような意義を持っていたか?」である。近代の統計制度は、19世紀にヨーロッパ諸国で形成された。統計データを収集加工するには、効果的な官僚機構が必要であり、諸外国の統計を相互比較するには国際的な統一基準が必須になる。従来の統計史研究ではロシア語資料にのみ依拠するため、国勢調査に関する国際協力に注視しなかった。本研究では、ロシア語資料だけでなく、当時の英米の学術雑誌及び現代の資料にも依拠し、第1回ロシア国勢調査の準備過程を検証し、19世紀ロシアの第1回国勢調査の特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、ウクライナ紛争の勃発のため、ロシアでの資料調査が不可能になったため、日本国内で調査可能なテーマに絞り、研究を遂行した。 大阪公立大学図書館には、1897年にロシア帝国で実施された「第1回ロシア帝国国勢調査」全89巻がマイクロフィルムとして所蔵される。その内の第2巻のアストラハン県の人口調査(1904年版)と、第14巻のカザン県の人口調査(1903年版)を閲覧した。第2巻と第4巻の序文に、米国の技術者ホレリスの電気計算機がデータ収集・加工に役立ち、感謝する内容が記されていた。1890年に米国で人口調査が行われた際に、ホレリスの電気計算機がデータ収集・加工の時間を短縮する。ホレリスの機械はすぐに欧州諸国で使用されるようになるが、ロシアもその機械を米国から導入する。 令和4年度の研究成果の一部は、6月12日に東洋文庫で開催された「エスニシティ研究会」で「第1回ロシア国勢調査(1897年)から見る、アストラハン県とカザン県」と題して研究報告を行った。ロシアの国勢調査では、各県の人口はもとより、宗教、言語、職業、年齢構成、識字率を詳細に調べている。アストラハン県では、ロシア人とキルギス人が過半の人口を占めるが、宗教的にはロシア正教だけでなく、イスラム教や仏教も普及していた。カザン県では、ロシア人が人口の約40%を占めるが、60%は他多民族で占められる。ロシア語話者の90%以上がロシア正教を信仰する一方、タタール語話者の90%以上がイスラム教を信仰するように、カザン県ではイスラム教が普及していた。 研究会での報告以後、以前にロシア国立図書館でコピーした、中央統計委員会の公文書「ロシアの人口調査に関する問題の発展の概要」(1890年)を閲覧し、ロシアの国勢調査の準備過程で内務省と財務省がどのような議論を行っていたかを確認した。その内容は、今後、論文にして刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウクライナ紛争勃発のため、当初予定していた、ロシア公文書館での調査が不可能になったため。代わりに国内で可能な範囲に絞り、研究を行った。
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今後の研究の推進方策 |
当面は、大阪公立大学に所蔵される「第1回ロシア帝国国勢調査」のマイクロフィルムの閲覧と、以前にロシア国立図書館でコピーした、ロシア内務省中央統計委員会の公文書の閲覧を行い、論文にまとめる。 ウクライナ紛争が停戦に向かい、訪ロが可能になれば、すぐにロシア国立歴史公文書館での、ロシア内務省中央統計委員会の文書閲覧に着手したい。令和4年度の外国出張費は使わずにおいてあるので、本来は研究期間は3年としたが、後に1年の延長を申請し、令和4年度に実施できなかった、ロシア文書館での調査を行いたいと考えている。
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