研究課題/領域番号 |
22K01598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
近藤 弘毅 北海学園大学, 経営学部, 教授 (40507753)
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研究分担者 |
古谷 嘉一郎 北海学園大学, 経営学部, 准教授 (80461309)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 地場産業 / 生存時間分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では地場産地の内部の企業間競争が産地の発展に与えた影響を解明する。地場産業の歴史的研究は、これまで企業間の協調行動に重点が置かれ、産地の創設や戦略転換などの重要な場面で組合活動や協同戦略などが果たした企業者的役割が解明されてきた。その一方で産業集積論などの分野では企業間競争が産地の発展に与える影響も指摘されてきたが、データの不足から少数の研究例のほかには歴史的な解明が進んでこなかった。そこで本研究では、職業別電話帳のデータを中心に1960年代から50年間の産地企業の生存データを作成し、生存時間分析など組織生態学的な分析を行うことで、産地の競争圧力と発展の関係性について明らかにする。
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研究実績の概要 |
初年度である2022年度は、申請者の研究課題である地場産地の発展史に組織間関係の理論モデルを用いるうえで問題となる方法論的課題について検討したことが重要な進捗となる。近年、歴史学と社会科学の関係性が再検討(保城, 2015など)されているが、経営学・経営史でもKieser(1989)やZald(1990)らを嚆矢として、両者の交流の在り方が議論されている。特にUsdiken and Kipping(2020)は、産業発展のプロセス研究に歴史的データを用いる際の理論と歴史との関係性を、①理論構築に歴史データを用いる(History to Theory)のか、あるいは理論の中に歴史的要素が内包される(History in Theory)のか、②定性研究か定量研究か、という2軸からなる4つの在り方にわけ、多数の先行研究を分類して検討している。 一方で申請者は、歴史データを用いた理論が単純に歴史研究になるとはいえないと考え、この軸に対して、理論モデルが時代区分に応じた外生的ショックを反映しているか否かの軸(時系列の内生・外生)を導入することを提案した。これは日本の組織研究における「行為システム記述」(沼上, 2000)に対する「絶対年代」(橘川, 2009)の重要性や、Usdiken and Kipping(2020)のいう歴史的コグニザンス(historical cognizance)の有無を上記の分類に落とし込んだものであり、申請者の今後の研究で活かされるものである。ただし、こうして検討した内容については、2022年度中に論文として発表することはできず、2023年度7月発行予定の研究ノートとして発表することとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初「各産地の資料を用いた時代区分の明確化」と「基本統計量など基礎的数値の整理」を目標にしていた。しかしながら、①コロナ禍において対象である地場産地での調査活動が困難だった、特にインタビュー対象であるかつての経営者の方々はかなりの老齢であり訪問が難しかったこと。また、②研究分担者が他大学への異動が決定したこともあり、統計関係の進捗が遅くなったこと。こうした理由もあり、当初の進捗に必要な史料収集や数値データの整理を進めることが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は現地調査はできなかったが、産地の同業者組合の過去の史料や業界誌など、手に入るものは取り寄せているので、これらに加え、2023年度に計画している産地への調査訪問を加えて、すでに集計済みの創業と廃業のデータを用いて、産地の時代区分を明確化する産地史についての定性的な論文を執筆可能であると考える。それに加えて、当初の2022年度に実施する予定であった基礎統計量の整理と、旭川と大川の2つの産地の企業群について生存時間分析を施すことで、時代区分を考慮した競争環境と生存率の関係について分析を行う。これについても2023年度内に実施可能と考える。これにより当初の研究計画の進捗を回復できる。最終年度の2024年度は、産地としては消滅した札樽産地のデータを用いた比較研究など追加的なテーマに進みたい。
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