研究課題/領域番号 |
22K01609
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鷲崎 俊太郎 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (50306867)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 東京 / 地代 / 内幸町 / 関東大震災 / 都市 / 1920年代 / 第一次世界大戦 / 土地 / 近代 / 明治時代 / 弁護士 / 代言人 / 法律事務所 / 立地 / 生産者サービス / 不動産 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,土地不動産関係史料,地籍台帳・地積図などを素材として,①明治後期・大正期の東京市麹町区内幸町1丁目における三菱の土地賃貸借市場と不動産経営を分析し,②借地人がなぜ内幸町の土地を賃借したのか,プロフィールと背景を探りながら,近代都市・東京における地主―借地人の構造を動態的に分析することを目的とする。本研究は,近代日本の土地所有史を,従来のように供給側から分析するだけでなく,借主側から見た借地の有効的な空間利用や,法制史・税制史や建築史,歴史地理学などと絡めた学際的な検討を加えることで,極めて意義ある研究だといえる。
|
研究実績の概要 |
今年度は,法政大学地理学会・法政大学江戸東京研究センター共催のシンポジウム「関東大震災100年 大地震と都市空間 ~過去に学び,近未来を描く~」(2023年10月21日,法政大学市ヶ谷キャンパスにて開催)の一報告として,関東大震災と都市空間の意義を位置づける分析を実施してきた。 第一次世界大戦中における内幸町地所の地代上昇率は,大戦前夜の2倍を示したが,その後も上昇を続け, 震災後に3倍まで上昇した。他方で,内幸町の地価上昇率は,1916年から1920 年までに2.7 倍,1922年までには3.3倍上昇していた。利回りは,1916年の2%から1922 年の1.14%へと低下していた。このように,1920年代の内幸町では,貸地の地代が上昇しても,利回りが悪化していた。 よって,震災後も,東京市内中心部での地代・地価が継続的に上昇したことで,土地所有者は,焼失して更地になった地面を売却しやすく,保有し続ける選択をとれたので,震災後の東京は,土地所有の面で復興させやすかったといえる。他方で,利回りの低下局面を踏まえれば,大土地所有者には,1920 年代後半が東京市内の所有地を売却する時期に差し掛かっていたと考えられる。 ただし,1920 年代には,物価が漸減し,賃金も停滞ぎみの傾向にあった。そういう状況下で,地代だけが上昇したことは,実際に家賃を払ってその空間を利用した借家人へ,費用負担を大きくかけていたと推察される。借地法の成立による借地人の保護政策によって,大土地所有者は,遅かれ早かれ土地を売却したのかもしれないが,震災はそのアクセラレーター的な役割を果たしたと結論づけた。 以上の報告と全体討論の模様は,鷲崎俊太郎「関東大震災と丸の内・内幸町 ―東京経済と三菱における地所経営の変容―」,『法政地理』第56号,2024年3月,5-18頁として。掲載されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のとおり,本研究の趣旨が,法政大学地理学会・法政大学江戸東京研究センターをはじめとする歴史地理学関係者から関心を示して頂けたことは,本研究の学際的意義を訴えるうえでも,非常に有効だったといえる。 また,時代は近代から近世に遡るが,こうした都市における土地市場史・土地政策史研究の成果を,今年度の政治経済学・経済史学会における秋季学術大会の共通論題「都市と土地所有 ―歴史と現状から―」(2023年10月29日,駒澤大学にて開催)として報告できたことも,充分な成果があったといえる。(報告タイトルは,「江戸の沽券帳と町名主による土地所有の管理」である。この報告に基づく論考は,『歴史と経済』第263号に掲載される。) 他の業務との兼ね合いにより,本研究のエフォートをもう少し進展させたかった点も否めなかったが,それは次年度への課題として,取り組むことにしたい。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,今年度時間の制約であまり積極的にできなかった史料収集を充実させていきたい。これまでは,ケーススタディとなる内幸町地所の所有者であった三菱側の史料を主に利用してきたが,土地に建物を建てていたのは,この土地の賃借人であり,さらにその建物を利用して営業・消費活動を行っていたのは,その建物の借家人である。こうした賃借人・借家人から見たデータをも,これから活用していきたい。
|