研究課題/領域番号 |
22K01613
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 高千穂大学 |
研究代表者 |
大島 久幸 高千穂大学, 経営学部, 教授 (40327995)
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研究分担者 |
中林 真幸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60302676)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 情報生産 / 接待 / 総合商社 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、総合商社の存続にとって根本的な機能である情報生産の実態に迫るべく、最適解が当事者を含めて予見的に判断できない不完備契約をすり合わせる場としての接待に注目して経済学的な分析を行う。総合商社の本質は市場がまだ成立していない機会をとらえてビジネスを創造することにあるが、その実態を実証的に解明することは史料的制約から難しかった。本研究では、接待に要した費用と個別の取引の各種取引関連の係数との相関を統計的に分析する。また、北米西岸店で行われていた海外渡航者接待に関する統計処理可能な長期データを構築して、接待における情報生産を経済学的に分析する。これら分析で商社の本質的機能の解明が可能となる。
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研究実績の概要 |
総合商社の取引には、グローバルに統合された市場取引と、まだ顕在化されていない市場を創造する取引の二つが存在する。そして、総合商社の機能の本質は、後者のような新規のプロジェクトや事業の運営に際して、収集した情報をもとに世界中から必要な人材や取引先など適材を集めて組織化し、有機的に機能させる能力にあるといえる。これまで日本に固有な業態とされる総合商社の研究は豊富だが、従来、こうした商社の機能を実現する上で不可欠な情報生産ともいえる活動がどのように行われているのかという本質的問いに迫る研究は、その方法論的な難しさから試みられることがなかった. そこで、本研究では、総合商社の存続にとって根本的な機能である情報生産の実態に迫るべく、最適解が当事者を含めて予見的に判断できない不完備契約をすり合わせる場としての接待に注目して、経済学的な分析を行う。総合商社の本質は市場がまだ成立していない機会をとらえてビジネスを創造することにあるが、こうした機能がいかに発揮されるのかを実証的に解明することは史料的制約からこれまで難しいとされてきた。本研究では、第一に、三菱商事の総合決算表を用いて、接待に要した費用と個別の取引の各種取引関連の係数との相関を統計的に分析する。第二に、北米西岸店で行われていた海外渡航者接待に関する統計処理可能な長期データを構築して、接待における情報生産を経済学的に分析する。以上の分析を通じて、旧来の研究では解明しえなかった商社の本質的機能の解明が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、大きく二つの課題を検討することで研究を進める。 第一は、三菱商事における部署別の交際費の推移を「総合決算表」より抽出し、他の営業係数と関連付けて検討するという課題である。三菱商事では、取引に関する各種のデータを大量に蓄積し、総合決算表として集計していた。同データには各商品部の取引ごとに交際費や商品別利益額、取引額などが部署別に長期にわたって判明する。本研究ではこれら大量データを入力・解析して交際費の経済効果について経済学的に分析する。 第二の課題として、1920年代後半から1930年代にかけて北米西岸店が行った海外渡航者に対する接待の実態を三井物産や三菱商事の支店資料を用いて分析する。シアトルやサンフランシスコは太平洋航路によって日本人の海外渡航者が多く訪れる地域であり、当該地域の商社支店では海外視察や旅行などの目的でやってきた取引先関係者などに対して波止場への見送り、ホテルへの送迎、日本倶楽部等での会食、取引先の視察などの各種の世話を行っていた。多くの場合、これら接待対象者は、北米西岸店以外の店舗の関係取引先の要人や役員の知人などであり、そうした各店・役員からの依頼に基づき海外渡航者の接待が行われていた。こうした接待の様子は、接待対象者の役職、接待の程度や内容、接待の費用などが記録され、その様子が依頼先店舗や役員に報告されていた。こうした接待の網羅的な記録はアメリカ合衆国国立公文書館に数多く所蔵されている。本研究では、これら網羅的な接待情報をすべて入力の上、集計して経済学的に解析する。 本年度は、このうち、第二の課題として、1920年代にオイルシェールビジネスをめぐって技術導入を目的として海軍や南満州鉄道の関係者が海外渡航した際に展開された三井物産と三菱商事の接待の動向を具体的に分析した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、研究代表者は海外渡航者接待の属性に関してコンテクスト情報を整理し、研究分担者は総合決算表の入力と加工処理を行う。さらに翌年度には、研究代表者は総合決算表で区分された商品部の特性に関するコンテクスト情報を整理し、研究分担者は、総合決算表の入力と加工処理に加え、海外渡航者接待データの加工処理に着手する。また、成果については国内外の学会で広く公表し、批判を仰ぐ。研究期間の3年目には、研究代表者は、海外渡航者接待データに関するコンテクスト情報を収集して、分析結果の意義を検討する。研究分担者は、総合決算表の入力と加工処理と、海外渡航者接待データの加工処理を継続する。また、前年度に続き成果については国内外の学会で広く公表し、批判を仰ぐ。最終年度には総合決算表および海外渡航者接待データの分析結果に関する最終成果のとりまとめの検討をおこなうととともに、成果については国内外の学会で広く公表する。
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