研究課題/領域番号 |
22K01633
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
山本 卓 明海大学, 不動産学部, 教授 (70732866)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 環境経営 / グリーンビル / 遊休不動産開発 / 土壌汚染 / 環境不動産 / 不動産マネジメント / 企業価値 / ESG / 減損会計 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、ESG経営の重要性が浸透しており、その促進には企業活動の重要な経営資源である不動産の果たす役割は大きい。本研究では、企業価値に影響を与える不動産環境ファクター全般についての基礎的検証を行った上で、環境不動産の一類型である高環境性能事務所ビルに着目し、それを保有・賃借することが企業価値にどのような影響を与えるのかを中心的に分析する。この検証結果を、申請者が開発してきたCREのためのプラットホームに組み込み、より持続可能性が高い経営を実現させるための新しいCREモデルを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究の基本的問題意識は「CREの視点から、不動産環境ファクターが企業価値・企業経営に影響力を持つのか?そしてそれが認められるのであれば、不動産環境ファクターを反映させたCREを再構築することに意味がある。」ということである。 これらに基づき、初年度は、環境不動産を中心とした不動産環境ファクター全般についての定性的な整理を行った。具体的には、投資家と企業サイドに対してそれぞれヒアリング調査を行い、各種の不動産環境ファクターを企業価値に与える影響度に着目し、その特定と順位付けを行った。また、投資家、企業の基本的意識構造も把握した。具体的には、①企業の環境報告書の分析を実施した。東証部上場企業の環境報告書を収集整理し不動産環境ファクターの実態を把握した。②投資家アンケート調査、ヒアリング調査を実施した。質問事項として、投資に際して優先的に配慮する企業の環境的取り組みの内容、投資家にとって望ましい企業の環境情報の開示のあり方、企業が環境不動産を保有する取り組みへの評価等としている。この調査により、投資家サイドの不動産環境ファクターにかかる意識構造のあり方を共分散構造分析等により究明した。③企業の企業不動産部門に対するヒアリング調査の実施した。質問事項として、環境不動産の保有の有無、環境不動産を保有することによる経営上のメリットの内容等とした。さらに、環境に配慮した街づくりプロジェクトについてケーススタディを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り分析データを整備し、アンケート調査、ヒアリング調査も実施できた。それに基づいた予定された検証を行うことができた。検証結果も一定水準にあり、仮説を検証できるものであった。その結果の一部を、論文として公表した。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の研究作業により、概ねの不動産環境ファクターの特定とそれに対する関係者の意識構造情報の整備が行われたため、投資家サイドに着目した不動産環境ファクターの計量的検証と絞り込みを実施する予定である。具体的には、①ESG指標を被説明変数とした統計分析を行う。公的機関等から公表されているESG指標を活用し、企業の財務要因、企業統治要因、環境要因を説明変数とする統計的分析を行う。これにより、影響が認められる不動産環境ファクターの抽出をする。②企業価値指標を被説明変数とした統計分析を行う。企業価値指標を被説明変数、各種の不動産環境ファクターを説明変数とした統計分析を行い、企業価値創造を促進する不動産環境ファクターの抽出と影響度の測定を試みる。 ③企業リスク指標(β値)を被説明変数とした統計分析を行う。β値に代表される企業リスク指標を活用し、不動産環境ファクターは企業リスクに影響を与えているのかについての基礎的検証を行う。④環境イベントの情報開示の効果分析を行う。環境イベントの情報開示が開示企業の株価にどのような短期的影響力を与えているのかというイベントスタディ法を活用する。これに基づき個別の不動産環境ファクターの絞り込みと影響の大きさ、範囲をより明確にしていく。株価に対して負の影響を与えると想定される環境イベント(土壌汚染、アスベストの発覚等)と正の影響を与えると想定される環境イベント(環境不動産の取得、CO2排出の改善等)の双方を分析対象とする。これらイベントの情報開示前後の短期的な株価変動を分析対象として、CAR(累積異常収益率)を把握する。さらに、CARを被説明変数とした回帰分析を行い、CARに影響を与える要因の特定と影響度を明らかにする。
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