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英国における米国標準化技術の導入と変容過程:BSA社の事例, 1861-1890

研究課題

研究課題/領域番号 22K01636
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07080:経営学関連
研究機関中央大学

研究代表者

砂川 和範  中央大学, 商学部, 准教授 (10318321)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード技術標準化 / 互換性生産方式 / 産業集積 / 技術移転 / イギリス経営史 / アメリカ経営史 / 科学技術社会論 / アクターネットワーク / イノベーション / 標準化 / 経営史 / 英米関係史
研究開始時の研究の概要

補完的な諸制度によって安定的に形成された産業構造が技術のパラダイムがシフトするなかで変化を余儀なくされる場合に、どのような担い手が形成され、どのような技術変化の過程をへるのか。その過程において、地域間でどのような技術―経済的な軌道が分岐していくのか。このJ. シュンペーター以来の問いを19世紀後半の英国の事例分析をもとに経営史の手法をとり、BSA社の内部史料を基にした一次史料の精査をもとに検証するのが本研究の課題である。製造現場や労使関係の問題だけでなく、企業者活動、技術の変容、資金調達、流通機構の形成と消費などにも注目しながら、イノベーションの担い手の形成過程を歴史的に追う分析を試みる。

研究実績の概要

今年度は、a)一次資料の史的分析、ならびにb)文献研究を中心に進めた。a)前年度に引き続き、①既に入手している一次資料の分析を中心におこなった。とくにBirmingham Small Arms (BSA)の内部文書(英国ウォーリック大学現代史料センター)に所蔵のものである。1861-1880sの時期の会社設立期の産業集積の状況、作業組織の変化財務諸表、取締役会議事録、工場配置図、写真図版、社内報、私信など。②バーミンガム文書館、ソリハル文書館に分かれ所蔵されているBSA関連資料を検討した結果、一時期、BSA社の所有となった自動車企業Daimler社の資料について保存状況が良くなく、一部、史料が散逸していることを確認した。そのうえで、それを補う二次資料の探索を始めている。
b)「標準化」という技術的・経営的思想の技術移転において、その現場での実践、とりわけ労働過程をどう分析するか。その視点や方法として注目すべき2つの浩瀚な歴史研究について再検討した。ひとつは、BSAの設立と同時期に、おなじくアメリカ由来の「標準化」について帝政ロシアへの技術移転について検討したJ.Bradkey(1990)Guns for the Tsar: American Technology and the Small Arms Industry in Nineteenth-Century Russia、ならびにアメリカ本国における歴史的事例分析であるD.Hounshell From American System to Mass Productionである。
今年度は、まだ研究成果を報告する段階にはないものの関連研究会、関連学会に積極的に参加し、研究交流を深めた。とりわけ次年度に開催される予定の国際学術ワークショップGBASの第5回運営メンバーとして企画・立案に関わった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既に入手しているBSAの内部史料の分析をもとにした「互換性生産方式」の起源、導入過程、労働過程の変容、既存技術者の抵抗と需要、軍需生産から民生品への需要構造の変化などについて1850年前後の状況から1880s分析を行うことができたものの、まだ調査・分析の余地は残存している。
また技術標準化をめぐる歴史研究の動向については、広く経営史、経済史、技術史、科学技術論にまたがる論文・書籍等のサーベイが必要であるが、1970sを中心に行われたSaulやRosenbergらの「互換性生産方式」をめぐる歴史分析の先行研究の蓄積を踏まえた上で、今世紀に入って新しい視点で登場してきた「技術標準化」をめぐる歴史研究の動向の把握が必要である。イギリス、アメリカについて産業革命期の歴史研究は、膨大な研究蓄積があるものの、方法論的には古典的な視点を踏まえたものが多いため、とくに技術やテクノロジーの社会構成主義以降の視点や方法を導入することによって、その歴史理解や解釈は、相当にアップデートし新たなインプリケーションを引き出せると思われる。とくにフレームワークについて経営史、労働史、経済史、組織エスノグラフィー、Critical Management Studiesにおける労働過程論の深化についてシステマティック・レビューが必要である。また とりわけアクターネットワーク論(科学人類学)、批判的実在論を含めた科学技術社会論(STS)の動向を広く文献レビューを行なっている。とりわけ本研究課題に示唆的なものとして社会構成主義以降の歴史社会学的視点をつなぐ先駆的かつ浩瀚な研究であるT.Hughes(1993)The Network of Power,Electrofication in Western Society, 1880-1930に着目した。そこで示された歴史分析、歴史記述の方法について方法論的に探究をすすめた。

今後の研究の推進方策

来年度以降、文献研究、システマティックサーベイのための費用が嵩み、できていなかった現地史料調査について、2点の調査を実施する予定である。
①既に部分的に入手を終了し分析を進めている英国ウォーリック大学現代史料センター所蔵のBSA史料の調査・分析を継続し、未確認資料の調査・入手・分析を進めることに加え, BSAの所在していたバーミンガム周辺ミッドランド地域の機械金属工業の産業集積に関連する史料について、バーミンガム市バーミンガム文書館、ソリハル文書館の2箇所に分散して存在するものについて今後、収集・分析をすすめたい。またBSAと関係の深かった、英国DaimlerやVickersといった自動車・軍需関連の企業に関する関連史料の存在も確認できているため、次年度以降に調査を進める方針である。
②イギリスに展開した標準化技術のルーツである、アメリカ合衆国における19世紀半ば以降の互換性生産の登場と発展、イノベーションをめぐる歴史分析についての史料についても収集・分析を進める方針である。①ワシントンDCに所在する議会図書館(Library of Congress)、②メリーランド州ボルチモアのジョンスホプキンス大学ピーボディ研究所図書館(George Peabody Library)、③ワシントンDCのスミソニアンの2博物館(The National Museum of American History, National Air and Space Museum)のアーカイブ、④メリーランド州ウィルミントンに所在するハーグリー博物館のアーカイブ、⑤ミシガン州デトロイトに所在するヘンリーフォードミュージアムである。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 経営学史における人類学的な組織研究の系譜と展開2023

    • 著者名/発表者名
      砂川和範
    • 雑誌名

      経営学史学会年報

      巻: 30

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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