研究課題/領域番号 |
22K01665
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
葛山 康典 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10257222)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | リアルオプション / Real Option / Investment |
研究開始時の研究の概要 |
企業経営においてイノベイティブな製品開発に関するニーズは極めて高い。社会のありかたを変えるような新技術の研究開発着手の是非は、その技術開発の成功確率と、得られる収益に大きく依存すると考えられる。 本研究では、資源価格高騰がもたらす新技術ニーズの高まりが開発の成功確率に影響するような環境を対象とし、研究開発の成功確率が時点によって変化するという仮定のもとで、いつ研究開発に着手するのが最適であるのかを、リアルオプションの枠組みで分析する。このモデルから①研究開発プロジェクトの価値 ②研究開発着手のタイミングを導出し、研究開発に要する費用、収益等との関係を分析し、研究開発投資意思決定の一助とする。
|
研究実績の概要 |
本年度の研究では、研究開発投資の意思決定について、その成功確率が他の変数と相関を有する場合について分析の一部を行った。研究開発投資は、その成功確率や、成功の時期あるいは競合といった多くの不確実性を有しており、その意思決定を合理的に行うことが困難な分野である。従来の研究で研究開発の成功確率を取り入れたモデルが報告されているが、成功確率と研究開発の結果から得られる収益の関係が独立であると仮定している。 しかしながら現実には、これらの間に強い相関が認められるケースが散見される。例えば資源価格の高騰は、より安価で、同等の機能を有する代替物質への研究開発に関するモチベーションを向上させる。また、市場価格の高騰は、研究開発の成果として得られる製品の価値を上昇させるし、それが未完成の段階であっても技術の市場価値が上昇すると考えられる。その結果、優秀な研究者が当該分野に参入する、あるいは研究活動が活発化することによるシナジーを通して、代替物質の研究開発の成功確率が上昇し、これらの間の相関が高くなると類推される。 本研究では、ある資源の市場価格が、その代替物質についての研究開発の成功確率と相関するという仮定の下で、どのタイミングでこれらの研究開発に着するべきかという問題を検討する。このような分析は、リアルオプションという枠組みのなかで取り扱われることが一般的であり、本研究も研究開発に着手するリアルオプションの価値を算出し、その価値を最大化する時点を求めることで、研究開発投資に関する意思決定問題についての一助とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開発の成功確率が、資源価格と相関する前提のもと、成功確率がハザード過程にしたがい、資源価格の収益率が Cox Ingersoll Ross の金利モデルと同様な確率過程に従うもとで、これら二つの確率変数の相関を導入すし分析を行うためのモデル化が一定程度終了したため。
|
今後の研究の推進方策 |
Pyndickは、研究開発のリスクを、Market Uncertainty と Technical Uncertainty に区分している。 Technical Uncertainty は研究開発を遂行するための物理的な困難さで、この不確実性は実際に投資を実行しないと解消しない。一方で、Market Uncertainty は将来の不確実性が解消すること可能性から、投資を遅らせることがプロジェクトの価値を高めるケースがありうることを指摘する。これらの二つのリスクが内在することを前提にして、モデルの分析を進めてゆく予定である。
|