研究課題/領域番号 |
22K01669
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
本間 利通 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (90461128)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 組織コミットメント / 職業コミットメント / 役割コンフリクト / 専門職 / 役割外行動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、組織及び職業に対するどのような関わり方が専門職の役割外行動を促進するのかを明らかにすることである。専門職には組織から期待される役割と、専門職としての価値観に基づく役割がある。この2つの役割が重複しない部分の行動について、直接的というよりは間接的に組織に貢献する行動は様々にある。本研究はアンケート調査とヒアリング調査に基づいてデータを収集して、そうした役割外行動の促進要因を特定する。調査にあたっては、専門職向けの組織コミットメント尺度と職業コミットメント尺度を用いる。質的・量的アプローチから専門職の組織及び職業に対する関わり方と役割外行動の関係のモデル化を最終的な目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、組織及び職業に対するどのような関わり方が専門職の役割外行動を促進するのかについて明らかにすることである。看護師や薬剤師などの医療専門職は、組織の価値観と専門職としての価値観の間で役割コンフリクトが起きやすい職種であり、その役割に関する知覚は、個人がそれぞれにどのような関わり方をするのかによって規定されるところが大きい。本研究は、専門職の組織に対する関わり方と職業に対する関わり方を組織及び職業コミットメントとして、定量的に評価するための適切な尺度を用いてアンケート調査を行なう。ヒアリング調査も並行して行い、質的・量的アプローチから組織及び職業に対する関わり方と役割外行動の関係のモデル化を最終的な目的とする。そこでこれまでに、予備調査として組織コミットメントおよび職業コミットメントの測定の妥当性を確認するための質的な調査を行った。本研究は、Allen & Meyer(1991)に基づく3要素モデルに基づき、情緒的側面・存続的側面・規範的側面の3要素を測定する。これまでに、組織コミットメントにおいても職業コミットメントにおいても、存続的な関わり方の測定については課題があった。そのため妥当性を確認するための調査を行なった。質的な調査と理論的な検討に基づいて、存続的組織コミットメント及び存続的職業コミットメント尺度の改善版を作成した。薬剤師の労働市場において、薬剤師が不足していると転職しやすくなり存続的コミットメントは低下し、薬剤師が余っていると転職しにくくなるために存続的コミットメントは上昇する。そのため薬剤師の認識を尋ねる項目を存続的コミットメントに取り入れた。 本年度は2023年度に行う本調査の準備を行なうことができた。専門職の役割外行動の先行要因を確認するための調査を2023年度に行なう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、2023年度に行う本調査で用いる組織コミットメント尺度と職業コミットメント尺度の妥当性の確認を行った。組織コミットメント、職業コミットメントの3要素モデルの測定尺度の妥当性を薬剤師及び調剤薬局のマネジメント層への質的な調査から確認できた。組織コミットメント及び職業コミットメントの3要素モデルに基づく測定尺度として、Meyer & Allen(1997)を日本語化し改良した本間・串田(2019)による薬剤師向けの尺度の改善を行なった。特に、組織コミットメントの存続的要素と職業コミットメントの存続的要素を尋ねる質問項目を改善した。国内の調剤薬局に勤務する薬剤師は環境変化や不確実性に対応するために、従来的な役割に対する認識を変える必要に迫られている。質的な調査により、役割外行動に関するデータも得ることができた。近年の薬剤師をとりまく環境変化への調整行動を捉えるために、薬剤師の需給バランスについて理論的な検討を行ない、本調査で用いる質問項目を追加した。 質的な調査からは存続的な要素の測定には依然として課題があることが覗えるものの、本年度は2023年度に行う本調査の準備を行うことができた。調査の目的は、専門職の役割外行動と組織コミットメントおよび職業コミットメントの関係を明らかにすることである。尺度の改善及び理論的な検討を行えたことで、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、専門職の役割外行動と組織コミットメントおよび職業コミットメントの関係を明らかにするためのアンケート調査を行う。これまでの質的な調査や理論的な検討に基づいて改善した薬剤師版の組織コミットメントおよび職業コミットメント項目を用いる。特に、組織コミットメントの存続的要素については、大きな進展がみこめる。組織コミットメントの高さに由来する役割外行動や、職業コミットメントの高さに由来する役割外行動などを峻別するために、測定尺度の妥当性は引き続き検討する。本調査は、大阪経済大学倫理審査委員会の承認を経て行う。アンケート調査に際しては、回答がなくとも不利益はないことを明記して完全に匿名で行う。 2023年の前半に行なう本調査から、組織コミットメントの3要素が役割外行動に与える影響を定量的に評価する。得られたデータを分析することにより、役割外行動と組織コミットメントと職業コミットメントのモデル化を行える。
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